Henry Cow : Western Culture
ARTIST / Henry Cow
TITLE / Western Culture
LABEL / broadcast / ReR megacorp
DATE / 1978 / 2001
TITLE / Western Culture
LABEL / broadcast / ReR megacorp
DATE / 1978 / 2001
1435。Henry Cow決定盤シリーズのラスト。それまでのvirgin関係の盤とは異なり、本作はすでに自主制作盤として自分たちのレーベルであるbbroadcastからリリースされたものでした。なので位置づけは微妙みたいです。ゆえに1991年にeast side digitalからリイシューされた盤たちとは異なり、本作ではあえてボートラが付けられております。さて、"Concerts"ではHenry Cowは崩壊しかけていたわけですけれども、病気だったDagmar Krauseも復帰し、さらに新メンバーにチェリストのGeorgie Bornも加入します。またクラシック畑の人間濃度が高まるとともに、男3人女3人という歴史的に見てもこの手のバンドにしては面白い編成になる。しかし77年3月にvirginはHenry Cowとの契約を解除。この頃から初期実験レーベルとしてのvirginからみんなも知ってるポピュラーレーベルへと変化を遂げていくわけですね。ま、emiに吸収されましたが。9月には病気の悪化したDagmarが脱退。78年頭にはいわゆる音楽性の相違というやつでほぼ解散が決定します。この頃に制作が意図された楽曲群はTim Hodgkinsonのソロ作、Fred FrithとChris CutlerとDagmar Krause(スタジオ収録程度ならできたらしい)によるArt Bearsの1stで聴くことができます。で、最後のどたばたツアーを完遂し1978年7月25日のミラノでツアー終了後、解散を発表。すぐにHodgkinson、Cooper、Frith、Cutlerの4人が中心となり、最後のスタジオ盤である本作を2週間足らずで録音したようです。曲を制作したのはHodgikinsonとCooperのみ。インプロはなし。かつて主軸だったFrithもCutlerももうArt Bearに気持が移ってやる気ナッシングですね。しかし内容は個人的に好きです。さらに室内音楽的様相が高まり、複雑な構成によってややポップさが減退したと個人的には感じますが、それでも十分聴かせますし、何よりFrithとCutlerという現在でも前衛の前衛にいる人たちの影で見えにくかったHodginsonとCooperの私たちにもできるんです感覚というのが圧倒的な共感を呼びます。誤解しないで欲しいですが、彼らもまた高い能力をもった異能集団Henry Cowに最後まで残ることが許された天才たちだったわけです。最後になりましたが、Zappa好きとして、イギリスに飛び火したその異端の魂が最後に立ち上ったことをうれしく思います。彼らも初期Mothers Of Inventionにあこがれていたわけですから。いい盤です。これからもあまり深追いしないよう適度にHenry Cow周辺とはお付き合いしていく予定です。とりあえずArt Bearですね。