D'Angelo : Live At The Jazz Cafe, London
ARTIST / D'Angelo
TITLE / Live At The Jazz Cafe, London
LABEL / toshiba emi
DATE / 1996
TITLE / Live At The Jazz Cafe, London
LABEL / toshiba emi
DATE / 1996
1423。帯の言葉いわく「神が与えた豊かな才能、ブラック・ミュージックの未来を決定づける唯一無二の天才児!」だそうです。本作はブートレグで当初は出ていたようで、それはかなりの高値を付けていたらしい。そこで正式盤として日本が唯一のリリースを実現させたというわけ。D'AngeloといえばLサイドがR&Bのアツさを声高に叫んでいた際に真っ先に僕に聴かせてくれた作家である。尋常じゃないリズムの創出は、それほど身振りを感じないのに、大波のように押し寄せてきた。そろそろ僕としても1stの"Brown Sugar "を聴きたいと思っているところである。それにしても寡作で、2000年の傑作2nd"Voodoo"から今に至るまでどれほどの期間をあけるのだろうか。彼はおそらく一種のブラック・ミュージックを次のフェイズに進めた存在なのだが、それが故のプレッシャーが大きかったのかもしれない。先進者が常に抱える悩み、恐怖である。しかしそれを乗り越えなければ真なるポップスを描けない。大衆には革命ではなく、その先の統治が要求されるのである。さて本作を聴いてみて僕は"Voodoo"を聴いたときとは若干ことなる印象を抱いた。全体的にかなりそれまでのR&Bの偉大なる先達たちの影が見え隠れする。いうまでもなくStevie Wonderなどなど。これはおそらく純粋に本人だけが作曲している曲がM1M4しかないことに由来するのかもしれない。ライブということもあって、それほど加工することなくロウ・マテリアルでの提出であることに起因するのだろうか。旋律やフックもかなり影が見える。それにしても本作がライブ盤であるということは、ひとつの驚異かもしれない。バックを固めている演奏も完璧であるが、やはり若き天才の官能的なボーカルである。これほど「シット、ダム、マザーファッカー」と甘くささやいた人間はいただろうか。そうでなくとも、これじゃあ男女ともに濡れ濡れである。ぜひとも、エロティックな夜を最高の音楽で演出したいならば本作を選択すればよかろう。拾われるべくして拾われたブートである。