Sumugan Sivanesan / Durán Vázquez : Product
ARTIST / Sumugan Sivanesan / Durán Vázquez
TITLE / Product
LABEL / crónica
DATE / 2003
TITLE / Product
LABEL / crónica
DATE / 2003
1372。ポルトガルのレーベルcrónicaの盤は集めているわけではないのだが、買ってもいいかなと思わせるところがある。ポルトガルという国の電子状況の物珍しさという色眼鏡がはたらいているのは確かだが、このような視点そのものが西洋音楽の枠組みが構築したコロニアルなものなのかもしれない。もちろんポルトガルは完全にヨーロッパ圏なわけだが。多元的なメディアを提供することを売りにしているレーベルだけに、音作品だけのアプローチでは不十分なわけで、本作にもM17とM18はマルチメディアトラックというものになっている。どのようにして聴くのかよくわからんが、やはりデータとして開くのだろう。もちろん面倒くさくてやってません。面白いなと思ったのは、本作は2人の作家のコラボというわけではなく、前半はSumuganさん後半はDuranさんという風に区切られており(区切りには無音のトラックが挿入される)、独立した部を形成しているということでしょうか。このように前半後半にわけて異なる作家をぶつけるというスタイルは変奏を見せながらもProductシリーズとして主張されており、2008年までに6枚ほど出されているようです。SFの世界でいうエースブックを想起させる売り出し方ですが、美的な枠組みは異なるものだと推察される。このようなレーベルによる企画モノはまさにレーベルの思想を反映する機会なわけですから、あらゆるレーベルに考えてもらいたいものです。力量も試されますし。さて、本作に参加する両作家とも現在の電子市場で決して名前が売れているわけではないと思うが、ドラマツルギーを排除した実験音響スタイルである以上、多くのリスナーを確保することは難しいわけだから仕方ないっちゃ仕方ない。しかしProductシリーズが続いているということはその一歩を踏み出した彼らが評価されたからだということを忘れてはいけない。渋い盤ですよ。