Badfinger : Magic Christian Music

ARTIST / Badfinger
TITLE / Magic Christian Music
LABEL / apple records
DATE / 1970

1347。偉大なるBの落とし子、Bad Finger。Tom Evans、MIke Gibbons、Joey Molland、そしてPete Hamという4人が目指したのは、あるいは偽装させられたのは、すでに解散してしまった偉大なるBの魂だった。ここには露骨なまでの模倣精神が蔓延し、偉大なる巨人たちの残り香を求めるわれわれに十全な満足を与えてくれる。それがすべてだったのかもしれない。しかし彼らはそれでよかったのか。時代的にはほとんど近接する形で歴史に深すぎる傷を残したモンスターたちの身振りをただ模倣するだけで彼らはよかったのか。もちろんそれ以外のことが彼らに求められていたかどうか僕にはわからない。しかし、まるでオートマトンのようにThe Beatlesの魂に手足を操られている彼らは本当に幸福だったのか。でももし僕がBadfingerのメンバーであったならば、幸福でとろけただろうなとも思うのです。それだけ強烈な魅力がThe Beatlesにはあったから。本作はThe Beatlesの俳優Ringo Starrの映画のサントラ的存在です。M1ではPaulが曲を書いてブシ全開でもって本作のすべてを根こそぎ持っていている感じもありますが、その後に続く楽曲群も見事にBをひきついていでいる。全体的にはやはりPaulの息がかかっている感じもするが、それはそれでオートマトンとしては優秀だったのかもしれない、失礼な言い方だが。聴いてるとニヤニヤとまらないし、アップルというレーベルを全身で引き受けながら、少なからずは歴史に傷を残していると僕は考えたい。少なくともLサイドの影響で、中学生の時点で知っていた数少ない洋楽のバンドだから。