Sean Lennon : Friendly Fire
ARTIST / Sean Lennon
TITLE / Friendly Fire
LABEL / capitol
DATE / 2006
TITLE / Friendly Fire
LABEL / capitol
DATE / 2006
1290。my space。Lサイドのレビューはこちら。名盤、というか待ちに待った盤。帰ってきた。偉大なる魂を受け継ぐ男が。いや、その魂を消化し、新しいものを提示した男が。1stを僕はレコードで買った(あの頃はレコードを買うということに象徴的な何かを感じていた。そしてそれは素敵な行為だった)。作家なんて食うために頻繁に盤を出すものだと思っていた。しかしこいつは出さない。Donald Fagen並に出さない。しかし、その成熟期間を、否、それ以上のものを盤に反映させることができるから天才なんだろうと思う。この盤はすぐれている。帰ってきた、という感慨は正しくないほどすぐれている。あまりにもキャッチーで、あまりにも聴かせる。M1の36秒あたりで放つメロディはElliott Smithのものである。所々にエレメンツが見られる。そこが泣かせる。SeanとElliottの関係がどういうものだったのか気になる。どちらも偉大なる魂から育った。それゆえ僕は泣く。僕の愛すべき音楽が偉大なるBにつながっているという事実に泣く。そこから生まれるものが常に素晴らしいという事実に泣く。歌モノにおいてもっとも重要なのは、そこに独自性を持つブシが含まれているかどうかであることは何度も述べてきた。僕が知る中で、それをやってのけた天才は数人である。たったそれだけしかいないのだ。往々にしてそいつらは寡作で、なかには死んでしまったやつもいる。現実逃避のために僕は電子で耳をふさぐ。すぐれた歌モノとはそれほど黄金なのである。生きているなかで、すぐれた歌モノの盤をあと何枚聴くことができるだろうと考えてみたことがあるか。つまりそれぐらい稀有なのだ。奇蹟なのだ。それを分かって欲しい。名盤。