Ahmad Szabo : This Book Is About Words

ARTIST / Ahmad Szabo
TITLE / This Book Is About Words
LABEL / east developments music
DATE / 2003

1595。まったく知らなかったですが、ジャケにheftyの名前があったので買いました。製造流通を行っているようです。で、言うまでもないことだと思いますが(僕としては知らなかったか忘れていたか)、east developmentsはScott Herrenによるレーベルで、Ahmad SzaboはそのHerrenによる変名なんですね。どうりで聴いてみてその粒の繊細さに驚かされるわけです。名前の由来はジャズピアニストのAhmad JamalとギタリストのGabor Szaboに由来していると考えられているらしい。まあ特殊な名前ですからその可能性は高いんでしょうね。この名義の目的がいまいちつかみきれませんが、一応ジャズ的なものを背景にしたプロジェクトらしいし。かっこいいね。世間的には、それほどはっきりと目立っているわけではない(と無知ながら言ってみる)と思うけれど、やはりマーケットの流通と広告戦略が重要なのでしょうね。地味なレーベルでしょうから。Prefuse73やScott Herren名義と比べると遥かに認知度は下がるでしょう。でも、ここには商業主義的な思想から距離をとったHerrenの真骨頂が見えるといってもいいのではないでしょうか。本気で、しかし、何気なく、やりたい音楽をやる、という態度。それはそれで素敵な実践なわけです。個人的には、がちがちにマーケットにおいてゲームして勝つという極もかなり好きなわけですが。Scott Herrenさん自体はわれわれの緩やかな担当範囲でいえばLサイドに属しているのですけど、僕も大好きな存在です。というか文句をいうと、いい奴は大体Lサイドが押さえているから(奴は犬並に鼻が利く)、こちらとしてもむかついてるんですけどね。シット・ザ・フューチャー！　ま、本作は水準も高くてよい内容だと思いますよ。ただし、少し漠然としていて、気持ちよさだけが先行しているようにも思う...あ、それでいいのか。アコースティックなものと電子の邂逅を愛する人にはふさわしい1枚でしょう。20分強の内容なのであしからず。