Donato Wharton : Trabanten
ARTIST / Donato Wharton
TITLE / Trabanten
LABEL / city centre offices
DATE / 2004
TITLE / Trabanten
LABEL / city centre offices
DATE / 2004
1238。最近の高水準電子の世界においては、正直はずれをひくのが難しいほど作品のレベルが高く、それゆえ、どれを買っても大抵満足を与えてくれるが、それゆえ僕なんかにしたら意外性がなくて退屈だというか。この盤もそうである。抜群の安定感を誇るらしいcity centre officesは、その安定感ゆえに僕の手から遠ざかっているのかもしれない。思い出したように買ってみると「ああやっぱりすごいな」という感想で完結する。何のズレもない。もちろんそれぞれの作家には個性がある。メロディや音響センスにそれは現れる。しかしその差異は最終的により大きなものに回収されるのだ。Elliott Smithのようによっぽどの思いいれが泣ければ、個々人の差異が好みとして僕自身の琴線にしみこむことは少ない。イギリス出身のDonato Whartonによる本作は1stであり、グリッチの繊細さから始まって均質なアンビエント的音響空間の作り方、そしてメロディの牧歌性も含めて見事な完成度を誇っている。どうしようもない。ドイツで映画音楽を手がけているらしい。ピアノを習っていたというが、それが旋律の構築に現れているようにも感じる。どうしようもない。どうしようもない良い盤だ。だから僕がとやかくいう必要はない。またしばらくcity centre officesからは遠ざかりそうである。