Ceephax : Volume One
ARTIST / Ceephax
TITLE / Volume One
LABEL / rephlex
DATE / 2007
TITLE / Volume One
LABEL / rephlex
DATE / 2007
1239。不幸な人間がいる。たとえば、親類の達成によって自分が常にその比較対照を引き合いに出され、自身の真価にフィルターが欠けられる存在がそうだ。Ceephaxも偉大すぎる兄とその周辺の人々の影に隠れて是まできちんと取り上げられてこなかった。その力は十分にあるのにもかかわらず、だ。というかこの言説を並べている時点で、すでにCeephaxことAndy Jenkinsonはネイキッドな状態から逸脱しているのだ。残念ながら。僕の出会いかたもそのフィルタを通してしまっていた。ある種情報の流通の早さによってそれは仕方のないことかもしれない。この盤は彼のキャリアの中でもリリースされたレーベルもあいまってなかなか前評判も高かったものである。すでに"Volume Two"も出ているが、どうせなら2枚組で出せばよかったのにとも思う。音数はオオク、その配置はブレイビーツの手法によって複雑にばら撒かれている。旧来の名機が予想されるアシッドなテクスチャでもってRichard D.Jamesが好みそうなアナログな様相。しかしひとつ万人受けするポピュラーのレベルに達していないのは、各音のラインの複層化の妙がややかけている所と、突き抜けるメロディの解決が与えられていないところかもしれない。非常に閉塞的で、青空の似合わない地下のオタク音楽である。社会にコミットすることが全く念頭にないのだ。浮上することも何も目論まず、Andyは最終的にどこに向うのだろうか。盤としては良作なのであしからず。