David S. Ware Quartet : Cryptology
ARTIST / David S. Ware Quartet
TITLE / Cryptology
LABEL / homestead
DATE / 1994
TITLE / Cryptology
LABEL / homestead
DATE / 1994
1122。フリージャズ。ニューヨークでしっかりと若手バンドを送り出してきたhomesteadの晩年に作り出されたいたち屁な1枚か。この盤ではDavid S. Ware(サックス)を中心にMatthew Shipp(ピアノ)、Whit Dickey(ドラム)、 William Parker(ベース)が集まって製作されています。それぞれが、同時はどうかわからないけれども、バンドリーダーになることができる実力者たちが集まっているためなのか、homesteadからリリースされているにも関わらず、内容が濃いです。ちゃんとしています。意外にも。これまでもコンスタントにリリースを重ねており、ニューヨークではある程度名前が知られているのでしょう。どうもCecil Taylorの恩恵にあずかっている人が多く彼との影響関係が認められるようだ。評価もされており、優れている盤とされる。日本のジャズの状況と欧米のジャズの状況はおそらくかなり異なっているのだろうが、最近では、ロックやらの軽薄かつ肥溜めのようなものを聴くやからを購買層として狙ったのも増えてきている。たとえば大友さんのONJOなどはそういうことではないのか。菊池さんがやってるもろもろのプロジェクトもそんな感じだと想像しているがどうか。ベン図を作成しても、ある程度は重なりうるということがボトム・アップ式に示され始めるなかで、それでも、かつてのジャズ愛好家は自分たちのものとしてそれをハイカルチャー化しようとするのだろうか。その辺は正直わからない。ダンス音楽としてのジャズは常に軟派なものであったはずだし、クラシックという高級芸術にたいするカウンターアートであったはずである。一部が歴史化をはじめると、それが肯定的に評価されるようになり、ときにそれは権威とさえなってしまう。このような陳腐な変化の構造は、それとして納得して受け入れるのではなく、注意深い観察が要求されるような気がしてならない。骨董の価値を概念に当てはめるということを考えてみて欲しい。話がずれた。この盤は総じて聴かせてくれるし、homesteadを考える上でも重要な側面を垣間見せてくれる良盤だと思う。