Robokoneko : Anembo
ARTIST / Robokoneko
TITLE / Anembo
LABEL / couchblip!
DATE / 2003
TITLE / Anembo
LABEL / couchblip!
DATE / 2003
1004。作家名から日本人を連想させますがMelinda Taylor、時代錯誤な最高の音楽を作っているオーストラリアのcouchblip!の主催者です。さすが古きよきwarpが大成したA.I.シリーズを現代のミイラとして蘇らせようとするような音楽に没入しているレーベルの首領だけあって、その強烈な叙情性とたしかなセンスはかなりのブローを涙腺その他に叩き込む。IDMという俗称のもとに勝手に括りこまれる音楽が、複雑なビートを構築することに躍起になっているなかで、Robokoneko(とその仲間たち)が目指す音楽は、旋律性が重要な意味を持っている。喚起力は、旋律を補助する形で見事な完全性を獲得する音響的気配りによっても高められ、この手の音楽においては理想的な曲作りがなされていると感じられる。誰にでも、四の五の言わずに好きな音楽というものがある。思考を超えて、動物的に欲求される音楽がある。身体性が云々といった批評をされる音楽以上に、身体に、より正確には聴覚神経に反応する音楽というものがある。もちろん、僕はそのようなものへひたすら没入していくことを常に拒んでいる。それは言語化されて、分かることによってとりあえず処理されることをいつも望んでいる。安心が必要である。つまり、僕は常に現実を離れない。しかしその確固とした足取りを絡めとり、全体を浮遊させるように魂を抜いていく音楽というものが存在する。そして音楽という本来非言語的なものの本質的なあり方が、日常から僕たちを離脱させることにあるのは言うまでもない。そのようなぎりぎりの誘惑でもって無条件に魂を掴み取る音楽を(少なくとも僕にとって)、全面的に生産しているところとして恐怖を覚えているのがcouchblip!である。怖い怖いcouchblip!怖い。