Out Out : Pepperbox Muzzle
ARTIST / Out Out
TITLE / Pepperbox Muzzle
LABEL / axis records / metropolis
DATE / 1991/1996
TITLE / Pepperbox Muzzle
LABEL / axis records / metropolis
DATE / 1991/1996
いかにもなジャケットがある程度の音を想像させる。1989年より活動を開始したOut Outはエンジニアとして裏方業もこなしているらしいMark Alan Millerによる名義。この盤はそのOut Outによる1stだそうです。時代がデジタルに移り変わっていくなかで、アナログ録音の質感を愛し、音を作り上げていく。やっていることは電気系統を操るいわゆるインダストリアル・ミュージックである、と思う。みょうにシャリシャリしていて80年代の表面を塗りこめられているのはご愛嬌としましょう。Adrian SherwoodとともにTackheadに在籍し、on-u soundの多くの盤でギターをこなしていたSkip McDonaldが数曲プロデを行い、ギターも弾いている。このあたりのつながりは面白いな。それにしても、昔ならかなり毛嫌いしていたざらついた機械音をなんとも重みのない加工で仕上げた音楽であるが、最近はみょうに面白く聞こえるのはなぜだろうか。人に薦めるつもりもなければ、良盤といって積極的に聴きたいというわけでもないけれども、なぜか気になってしまうという麻薬のような音楽である。機械文明への憧れというのはなかなかSF的感性を讃えているように思われるかもしれないが、実はあまり関係ない。というのもインダストリアルに現れる荒涼たる音は昔々に想像されたごちゃごちゃとした機械の集合体を思わせるからである。現状での未来予想図は、表面が構造を覆い隠すブラックボックス化した世界であり、のっぺりとしてシンプルな概観が機械の集合体よりも逆に人間性を感じないものとなる、というものだ。まあどうでもいいが。