V.A : Tresor Never Sleeps
ARTIST / V.A
TITLE /Tresor Never Sleeps
LABEL / tresor records
DATE / 2003
TITLE /Tresor Never Sleeps
LABEL / tresor records
DATE / 2003
ベルリンのクラブシーンにおいて重要な位置を占めるというtresor。90年代初めからクラブでありレーベルとして機能してきたこの名前はベルリンの再開発に際して危機に瀕していた。それに抗う宣言であるかのように発表されたのがこちらのコンピレーションです。ジャケから不穏な空気を漂わせていますが、その暗闇のなかでも覚醒しながら着実に活動を進めるという意気込みが感じられるようです。ニューヨークのJoey Beltram、ScionというかたによるBasic Channelの改造、デトロイトのJeff Millsなどなどの面々が楽曲を提供しており、世界的にみてもtresorの重要性が確認されるようだ。なかでもデトロイトのUnderground Resistance関連を中心にヨーロッパに導入した功績は大きく、Drexciyaの名前もそのカタログの幾つかを占めている。HerbertやCristian Vogel、Surgeonなども関わってくることからわかるように、明確なひとつのスタイルにとらわれず、広くクラブにおいて有効であることがそのリリースの基準であるように感じられる。そしてそのリリースは非常に重要な作家によるものであることはいうまでもない。その辺のビッグネームも巻き込んで行けばもう少しこのコンピも説得力を帯びるのだろうが、参加しているのが僕が知らないだけなのか、どうもキャリアの深くない人々が多いようにも感じる。しかしこの盤の参加者が共通して鳴らしているのは、印象として、怒りに満ちた荒々しいものである。これだけの人々が示し合わせたかのように、ジャングルのような音質の強烈な4つ打で曲を構成している。そこにはスタイリッシュな洗練というものではなく、身体を過剰に揺さぶる事で破壊するかのような日本の祭りに通じるものがある。地下のクラブでこんなものが鳴り響いている日にはむしろ当局も恐怖を感じるのではないか。しかし落ち着くことなく、tresorは覚醒し続けている。表面的に見えないとしても。てか今はこのときの危機は乗り越えられたのでしょうか。