Michael Nyman : The Cook, The Thief, His Wife And Her Lover

ARTIST / Michael Nyman
TITLE / The Cook, The Thief, His Wife And Her Lover
LABEL / venture records
DATE / 1989

寓話的でよいタイトルです。映画音楽で有名なMichael Nymanによるサントラ。Brian Enoのレーベルobscureよりデビューしたことを考えると、もう少しポピュラー音楽よりのアプローチを見せてもよいと思いますが、盤が置かれる棚はだいたいコンテンポラリーのように感じる。一部のファンに人気のあるPeter Greenawayの監督による同名映画(邦題『コックと泥棒，その妻と愛人』、1989年公開)、少し気になる監督であるが、見た事はありません。この監督のほとんどの映画をMichael Nymanが手がけているらしい。ははあ。オープニングから高らかで、印象的な音楽であるが、やや節度に欠ける気もする。大時代的な趣向である。ゲーム音楽のような壮大さである。ナイーブな映画を想像する事ができない。前編にわたるねっとりとしたストリングスの愛撫と挿入によって交錯しながら、どこまでも扇情的に語りを演出している。ますますどんな映画か分からなくなる。というか勝手に想像するが、間違いなく僕の好きな映画ではない気がするな。これだけこっていりした音楽ならば映像のほうを食ってしまう事もたやすいのではないか。プロデはThis Heatなども手がけたThe Flying LizardsのDavid Cunningham、さすがに英国で一番何を考えているか分からない男である。そういえば昔のバイト先でMichael Nymanが好きな人がいたな。元気かな。