Throbbing Gristle : 20 Jazz Funk Greats
ARTIST / Throbbing Gristle
TITLE / 20 Jazz Funk Greats
LABEL / industrial records / mute
DATE / 1979 / 1997
TITLE / 20 Jazz Funk Greats
LABEL / industrial records / mute
DATE / 1979 / 1997
やっとこのお下劣な名前を持つユニットの盤にたどり着きました、しかしかえって時期的には非常によかったようで、新譜のリリースに加え、まもなく(07年4月)に来日します、その中で彼らの代表作であるこの作品を紹介することになるわけです、いわゆるニューウェーブの文脈において重要な位置をしめる本作はそのタイトルもそのジャケもかなりなめきった素敵さを持っており、彼らの本作における自信が感じられます、名盤の裏に素晴らしいジャケットがあるというのを地でいくのは、当時のポップ・ミュージックにたいする強烈なあてつけがあるらしいです、ちなみにさわやかに立ち並んでいる彼らの下には死体が転がっており、その崖は自殺の名所だそうです、まあ音楽の本質にどのように関わるのかという純粋主義的な考えはもはや有効性を持たない以上、そこからつむぎ出される彼らの真意でも勝手に想像して楽しむことも許されるでしょう、まあそれほど斬新なものではなないかもしれません、僕個人の聴く前の勝手な印象から、本作にはそれ相応の過激さ(音圧的なもの、ないし投げやり感)を予想していたのですが、蓋を開けてみるとサウンドとしてはかなり簡素に感じました、とても落ち着いている、歴史的な位置づけとしてアプローチするならば、彼らがサンプリングとループによって電子を使用した音楽に大きな影響を与えたという事らしいが、素人にはその原初性を汲み取ることはできません、むしろ現在からの視点で眺めるためにその革新性はかなり後退して見えてしまいます、これが新しい風を同時代に受けてこなかった90年代な人々の限界といえるのかもしれない、昨今のいわゆるポスト・パンク・リバイバルではニューウェーブの一側面を強調しているように感じられるために、あまり中心的にすえられることはないかもしれないが、来日とあわせてもう少し一般に(ッすなわち商業的な意味で)盛り上がりを見せるかといえば疑問かもしれない、ここには反抗的なものが音の形で、衝動として実現しているわけではなく、あくまでも静的に、ときにアンビエンスさえも漂わせて、われわれを包み込んでいく、音の洗練を考慮に入れるならば、個人的には非常に現在にも通じるものを感じる瞬間があって、それは当時としては英雄になりうる可能性だったのかもしれない、落ち着いてはいるが全体的に漂うインダストリアルなたたずまいが、このユニットの位置づけを確定していく、Kraftwerkのような曲もいくつかあるが、この点にかんして新しくはないだろうから、これが彼らの音楽性のどれほどの割合を占めているのかはわからない、M12などが比較的過激なものを含んでおり、僕のイメージとも合致するだろうか、とりあえず歴史再訪ということでよろしく