Ignatz : S/T
ARTIST / Ignatz
TITLE / S/T
LABEL / (k-raa-k)3
DATE / 2005
TITLE / S/T
LABEL / (k-raa-k)3
DATE / 2005
最近はややひねくれたロックというものに関心を示しているらしい(k-raa-k)3より、Bram DevensによるIgnatzというプロジェクトの盤を紹介します、それほどキャリアがあるわけではないと思うけれども、どこか若手らしからぬ貫禄を感じさせてくれるのはアバンギャルドなその音楽性の不可解さからだろうか、(k-raa-k)3の常連であるJürgen De Blondeによるプロデュースも少なからず影響を与えているようで、既存のコード感はすでに飛沫するかのような左右の音とセンターのノイズによって意味を成していない、圧力と分裂だけが身体全体へと浸透していく、そのようなわれわれの身体との呼応は、この作品に収録されている曲がそれぞれほとんど編集を経ずに、すなわち即興的に一発録りでかき鳴らされたということに関係している、この盤が作り出さざるを得ないのは緊張感の綱渡りであり、ギターを軽い叙情を持ちながら弾くときでさえもそのやわらかさと魂の奮えを感じる、M3で見せるように、おなギターの音をまったく加工してエレクトロニクスの単音へと変形し、その上に歌とも判断できないような声を乗せる、しかし結局やるのは先端か懐古趣味かのどちであるかという判断であって、それで終わり、それじゃあね、ということになってしまうのかもしれない、作家自身が自分の作る音楽に対して、どのような立場にたって、真摯に前を見つめているかが重要である、よい盤だと思う