Teenage Fanclub : Bandwagonesque
ARTIST / Teenage Fanclub
TITLE / Bandwagonesque
LABEL / creation/geffen
DATE / 1991
TITLE / Bandwagonesque
LABEL / creation/geffen
DATE / 1991
creationの輝かしい歴史のなかでも、名盤の誉れ高い一枚がこれ、Teenage Funclubの2ndにして彼らのキャリアのなかでも全盛期といわれる、いわゆる早期大成型である、有名になる条件としてのジャケのインパクトも確保して、評判と付随する条件によって十分に聴いてみたいという欲望に駆られる盤である、というかまあその駆り立てられた欲望は比喩としての表面となり僕の中で「なんとなく名盤だったはず」というレッテルに化し、実はcreationの文脈である事が完全に抜け落ちてしまっていたのも事実である、この忘却は非常に大きい、というのもその緩やかな個人的名盤カテゴリに付された簡略な説明が、最高のメロディ・センスとかそのようなものであったので、まったくもってネオ・アコのような作風であると勘違いしていた、しかしcreationという目印が与えられると、一気に音は具体化する、そこにはある程度想定された電気ギターの音があるだろう、それほど肩のこらない構成があるだろう、そして何よりも圧倒的なポピュラリティへと届きうるだろうと、正直90年代の日本にも多かれ少なかれこの若者たちの感性が流入していたのは疑いようがない、60年代、70年代、80年代とはまったく異質なギターの泣きはもちろんOasisのそれに近似している、ブリット・ポップという社会的現象のなかでTeenage Fanclubがどのように関わっていたかは定かでないがその土台となるものがここにはある、ディストーションの聞き具合からMy Bloody Valentineとのアナロジーを引き出そうとしても、ここには圧倒的な旋律の優位がある、ちなみに"Loveless"がリリースされたのも同年の1991年である、それにしても、たとえば現在の高校や中学の音楽祭でTeenage Fanclubを学生がカバーしていることを想像してみて欲しい、そこには感覚的に(もしかしたら普遍妥当性はないかもしれないが)奇妙な違和感が生じるだろう、それは彼らの音楽が演奏というもっとも根本的なイマの瞬間には浸透しないと感じられるからであり、やはり90年代というある種華やかな時代がもはや歴史化しているからである、再びこの盤が現在性を持つかどうかはもちろん予想するのは僕には困難であるが、少なくともまだ数十年は時間が必要である気がする、ささくれだった音楽が優勢なこのご時世に、こっぱずかしくなりながらそれでもM12のIs This Music?を演奏するというのならば、僕は多分最前列で君たちに拍手を送ろうと思う、さらにその前にM11のGuiding Star殻の流れでやるというのなら、君たちはおそらく歴史を超えることができる、新しい世界も見えるだろう、今の僕にこの盤を傑作であるという資格がないのは自明であるが、それでも僕なりの敬意を