Kenny Larkin : Azimuth

ARTIST / Kenny Larkin
TITLE / Azimuth
LABEL / warp
DATE / 1994

Juan AtkinsやDerrick Mayが構築したデトロイトないし世界のテクノシーンだが、もちろんその次の世代もそれを受け継いでいる、Richie Hawtinが代表的だが、彼が運営するplus 8 recordsからデビュー12インチを出したのがこのKenny Lakin、そしてなぜか海を挟んだ英国はwarpからリリースされた初のフルアルバムがこちら、デトロイトという風土がそれから強く影響を得たwarpに直接輸血されるという画期的出来事といえるでしょう、まあF.U.S.E.(参考１)の例もあるが、デトロイトという土地がそれまでmotownというソウルを中心とするレーベルが世界的影響力を及ぼしていたこともあり、デトロイト・テクノというのは非常に人肌に近くつくられている、それは宇宙への志向性というSun Raのような欲望も含みこみ、ジャズやそれこそソウルといった諸ジャンルの感情をその作品に封じ込めようとする、その全体にエレクトロニクスを用いる方法論から想像される無機的な出力というのを彼等は目指しているわけではない、あくまでそこには近代以前の感情と人間というものが介在するということになる、この盤も凡庸な作品群におぼれることなくその名をとどめていられるのは、その入り組んだ構成を可能にするアイディアと聴衆を鼓舞する挑発的エロスである、いい盤でしょう