V.A : Smiling Pets
ARTIST / V.A
TITLE / Smiling Pets
LABEL / sony
DATE / 1998
TITLE / Smiling Pets
LABEL / sony
DATE / 1998
2064。過去盤レビュー。日本独自企画盤っぱい。森田正治という方がコンパイル。こんな道楽じみた企画ができるってのも、ゆとりが許した時代なのかなんなのか。名前を見てわかるように、The Beach Boysの"Pet Sounds"と"Smile"(当時は未完)への愛情を詰め込もうというもの。メンツも結構イケイケなんですよ。当時の日本を含めたインディーの懐かしい名前が並ぶ。元Primal ScreamのJim BeattieによるAdventures In Stereo、John Zornとも競演したSecret Chiefs 3(Forms名義でも参加)、日本のノイズキャラMelt-Banana、もはや時代しか背負ってない渋谷下北ギターポップShort Hair Front、The Olivia Tremor Control(参考)(THe Ships名義でも参加)、Jim O'Rourke、スイス産ギターポップSports Guitar、Thurston Moore、名前を呼ぶと謎の郷愁がこみ上げてくる今は昔なSeagull Screaming Kiss Her Kiss Her、David Grubbs、John McEntire、オーストラリア産パワーポップバンドDM3、あとよく分からんのが数組。現在でもわれわれの耳を引くのは、もちろん見事に自分流に脱構築するO'Rourke、Grubbs、Moore、McEntireらへんのラインでしょうね。というか、もうどんぴしゃなチョイスなわけですけど、その親和性というのは、やっぱり僕が同時代人として、彼らの音楽の素晴らしさを目いっぱい享受し、今もそれに期待し続けていて、それに彼らも答え続けているからということでしょう。ちなみMcentireさんは、モンドなラウンジとしての解釈です。なかでもGrubbsのピアノ弾き語りというのが、もうどうしようもないほど心を撃つ。 ボーカルとしてEdith Frostを招いて、ある程度手の込んでいるO'Rourukeと比べると手抜きともいえるけどさ。みんなみんな、新譜、楽しみですね。その他のかたがたは、ミックスも含めて、忠実に再現しようとするというか、それほど原型を捻じ曲げようというたちは少ない。それぐらい、60年代のヘロインでらりったきらめきに愛を捧げているのだと思う。日本での企画なのに、山下達郎とかが参加してないのは、どう考えたっておかしい、という方がいるとすれば、それは正しい判断だけど、当時のThe Beach Boysの消化のされかたはやっぱりド直球というよりも、ちょっとインディーでちょっとイタ飯なんですよね。そうでないと、僕がBrian Wilson万歳なんていうはずがない。そういうカルチャーが90年代末にあったという証左として貴重な1枚です。