Stereolab : Cobra And Phases Group Play Voltage In The Milky Night
ARTIST / Stereolab
TITLE / Cobra And Phases Group Play Voltage In The Milky Night
LABEL / duophonic / elektra
DATE / 1999
TITLE / Cobra And Phases Group Play Voltage In The Milky Night
LABEL / duophonic / elektra
DATE / 1999
1761。以前紹介した盤"Dots And Loops"。7thくらい。個人的な音楽趣向を規定してくれた1枚といっても良い。発売当時、コーネリアスこと小山田圭吾が本作とThe High Llamasの"Snowbug"を2枚並べて解説付きで広告していたのが懐かしまれる。どちらのジャケも中学生の煮え切らない美的感覚を刺激するとともに、新しいものが提示されるのではないかというわくわく感と、シカゴの風が味付けされ、われわれの欲望を掻き立てた。そして本作のM1を聴いて、少なからず周囲との音楽的志向のずれを意識し始める。それが通称「ミルキーウェイ」と称される本作の思い出。傑作"Dots And Loops"、というか萌芽としてはさらに前の"Emperor Tomato Ketchup "からの流れが音へと集中され、クリアなサウンドメイクが実現している。変則なリズムが当時の僕を囲んでいた小規模なポップス群を平凡した。個人史的には、何よりも、「ポストロック」だったのは本作であった。そこには、その抽象的な批評用語(当時は「音響派」なる潮流もさほど意識的に分化されていはいなかったのではないか)の中心人物と称されるTortoiseのJohn McEntireとJim O'Rourkeがいた。ジョンマケがこの頃のStereolabのレールを引いたわけだが、そこにO'Rourkeが噛み付いてきたわけである。それぞれがプロデ・ミックス・録音を担当した曲はほぼ交互に並んでいる(McEntireがM1M2M4M6M8M10M13M15、O'Rourkeがそれ以外)。両者はプレイヤーとしてもトラックにエッジを与えている。クレジットにはシカゴ関係者としてのMazurekやメンバー間の交流があったThe High LlamasのSean O'Haganの名前がある。メンバーの1人だった才女Mary Hansenが2002年に急逝して以来、不定期な活動が続き、第一線から退いているものの、Stereolabが示した地平を、僕たちは何よりも大切にしていきたい。何よりも、本作を聴けば、今でも新鮮なトラックが並んでいることがすぐわかるじゃないか。若かりし僕たちは、奇跡的なめぐり合わせで正解にたどり着いていた。このような1枚に、10代に出会いたいところである。