Neil Young : Harvest
ARTIST / Neil Young
TITLE / Harvest
LABEL / reprise records
DATE / 1972
TITLE / Harvest
LABEL / reprise records
DATE / 1972
[22-71]。以前紹介した盤"After The Gold Rush"。いわゆる名盤。郷愁とか、牧歌とか、哀愁とか、そんな次元を超えた魂の凝結。傑作3rd"After The Gold Rush"を繰り出してもまだかけることのなかったセンス・オフ・フォークである。M1のハーモニカからしみる。蕎麦を食べた後の、蕎麦湯のようにしみる。モーリス・ルイスの絵画のように染み渡る。前作のように、ところどころさえ渡る南部鉄のようなエレキ精神は、さらにマイルドに抑えられ、カントリーな調子が強調される田舎風情である。また、THe London Symphony Orchestraを従えて、男には女が必要だとか、センチメンタルなことを大仰に書き立てる。抜群によい旋律で。心に届く、シンプルな訴えで。日本人は、なぜかハーモニカが好きだ。結局原風景を演出するときに、その揺らめく響きが一役買うことが多いからだろう。それは、日本を拡大した70年代の大衆たちのがんばりであり、その消費意欲のある人々が魂のよりどころとしてその響きを再生産し続けたのである。何を言ってるかよく分からないが。山崎まさよしやゆずが売れたのは、そんな土壌があったからである。何も意外なことはない。適当な分析だ。適当すぎて、すぐにでも修正したくなったが、とりあえず無視しよう。Neil Youngの本作がアピールするのは、その暢気なハーモニカが強く染み渡るからである。もちろん、言うまでもないが、ライティング能力は抜群である。良い曲ばっかりである。よい旋律である。シンプルでありながら、不足がない。ちょうど、ぴったりである。難しく考えなくても良い。社会的視座にたった歌詞も際立ち、まさに歌うという行為の実質的な側面を強く感じる。僕たちが求める歌とは。言葉を聴け。それが馴染むように。それが心から離れないように。しっかりと旋律でしみこませるんだ。歌。