Frank Zappa : Hot Rats
ARTIST / Frank Zappa
TITLE / Hot Rats
LABEL / bizarre records
DATE / 1969
TITLE / Hot Rats
LABEL / bizarre records
DATE / 1969
2099。過去盤レビュー。僕のZappa人生を大きく動かした稀代の愛聴盤。最近は聞いてなかったけど。"The Lost Episodes "なんていうただのカルトファン向けの糞盤をつかまされても、「いやいや、アレだけ人気があるんだから絶対的に何か素晴らしい盤があるに違いない、探すのである」という意気込みを保ってようやく脳みそにアタッチした。先生がソロ2作目で提示した荘厳なハコモノである。もはや説明不要のM1"Peaches En Regalia" の類にまれなフレージングは、その細かい変化まで脳みそのしわに刻み込まれ、なんてこったという感じであった。貞子を先取りして、パッケージから偏在される脳みそへと召還されるZappa先生は、ギターを適切な武器として使用し、絶妙に歌い続けた。プログレッシブというようなものではなく、ジャズ・ロックなんてものでもなく、もはやZappaである。後にも先にもZappaなのであった。M2のソロを聞いてみるが良い。これほどまでも気持ちの良い長ったらしいソロを聞いたことないぜ。ちなみに歌ってるのはお友達の Captain Beefheart。もうむちゃくちゃ良い盤である。というか、それは、もはや俺だけのZappa先生でいてくださいというわけではなくて、「みんないろんなこと言うけど、この盤聴いてもZappa先生を単なる髭もじゃで下ネタ好きの面白おじさん扱いできるんですか」というレベルのやつである。演奏も全ての楽器が有機的にぐちゃぐちゃにされていて。メロウでメロウで。ちょっと真剣にすればこれぐらいできるんだけど、それじゃつまんねーからという美学である。と聴きながら、雑文を書いてるけど、すげえはこれは。もはや泣けるレベル。涙出る。すごすぎて。Beatlesが8トラックで多重録音したかしらんが、先生は倍の16トラックだぜ。バロック的構成力である。ギターだけでなく、おそらくIan Underwoodのトランペットなんかも吹き荒れて、もう仮構化された会場の熱気は半端なく高まる。Don "Sugarcane" Harrisらのバイオリンなんかも荒れ狂う。もう何がなんだか分からない。しかし混沌と呼ぶには、失礼なほど整理されている。ベースの気持ちよさまで保存されて、感嘆しかない。奇人変人のふりをするのは大変だ。それでも、僕はZappa先生に憧れ続ける。あとはただ走り続けるだけだ。