Blur : 13
ARTIST / Blur
TITLE / 13
LABEL / food
DATE / 1999
TITLE / 13
LABEL / food
DATE / 1999
2054。過去盤レビュー。以前紹介した盤"Think Tank"。不和から、仲直り。そして伝説へ。彼らの最近?の映像をyou tubeなんかで見ると、涙がでる。そういう年齢になったのか、それともその伝説っぽさがそうさせるのか。特に本作のM1である'Tender'なんかで Damon AlbarnとGraham Coxonが見つめあったり、笑いあったりすると、そのBL的な感性が爆発する。そして観客が大合唱。これだよね。これが、スーパーバンドのあるべき姿だと思う。前作"Blur"よりもさらに、ブリット・ポップからおさらばして、ただの黄色いアイドルから、青い音楽家へと姿を変えていく。そんな6thである。本作自体はさほど、名盤としての地位が与えられているわけではないが、個人的な思い入れは強い。これまで面倒を見ていたStephen Streetから離れ、なぜか売れっ子のWilliam Orbitがプロデっているところもポイント、なのかどうかはわからない。それでもブリット・ポップが崩壊したあとのアプローチとして、それを牽引してきたバンドの次の一手としては決して間違ってはなかったろうと思う(結局Orbitによる手ほどきは本作で終わったっぽいけど)。Blurの良きところは、真剣にやるところと、抜くところ。その他、ちょろっとノイジーな稚気をやっているのは、それが彼らの曲のほとんどを占めているのが事実だが、おまけみたいなもんだと思う。それにしても、アメリカでグランジなる得体の知れない汚い音楽が爆発し、それにちょろっと目配せをしていたら、1997年にRadioheadが"OK Computer"なる奇跡をやってしまったもんだから、もはやBlurはどうしたらいいのか分からなくなったのではないか。彼らがブリットポップから決別した1997年、その数ヵ月後にぶっ飛んだ盤がリリースされてしまったという。それらの影響関係があるかどうかはまったくわからないし、誰か教えて欲しいものだけど、その後の回答が待ちに待たされた本作だということを考えると、決して成功した1枚でははない。難解であるとか、ナイーブであるとかはどうでも良い。確かに第一線のバンドがやるには、多少なりともアプローチがストレートではないかもしれないけど。僕の耳はバカになってるから、まったく持って愚直にさえ響いてしまう。後半とか聴き方によってはやりたい放題に感じるのかな。それが初期のファンを多少いらだたせるのだろうか。なにはともあれ、ひとつひとつが丁寧に作られてると、今回聞きなおして思いました。ただただ、次の答えを僕に期待させるという稀有なバンドが当時放った、なんともいえない次の一手だったわけである。オリンピックもとっくに終わり、フル盤をそろそろ出しても良いのではないでしょうか。よろしくね。