Jim O'Rourke : Nevertheless
ARTIST / Jim O'Rourke
TITLE / Nevertheless
LABEL / steamroom
DATE / 2015
TITLE / Nevertheless
LABEL / steamroom
DATE / 2015
2367。以前紹介したシリーズ"Kid To Break"。糞ほど売れないJim O'Rourkeのsteamroomシリーズ。17作目。全1曲38分超。鍵盤系のタッピングが重なりあっていき、静謐な音響空間が作られていく美しい1枚。ひそやかに通底するドラミングも気持ちがよい。無調気味ではあるので、不安にならないわけではないが、音の粒が見事なために、その構築が気持ち良い。7分手前にきて音圧が膨らんでくる故、うっかり寝落ちしてしまうとうなされること請け合いなので注意が必要だろう。売れるかと問われたら、糞売れないだろうけど、それでも何か音楽を生み出そうという強い気持ち、強い愛を感じるわけだ。中盤になると、後景でバッハか何かがなり始める。この曲弾いたことある気がするけれど、まったく思い出せない。そして音が終わると、燃えるような音が聞こえてくる。割と全体を強く意識して構成されているように感じる。終盤にかけてハーシュノイズが取り込まれていき、そこでもすべてマニュアルと思われるドラミングが通底している。穏やかなサンプリングもぶち込みながら、縦横無尽であり、かつ美しい仕上がり。O'Rourke先生のエクスペリメンタルサイドでもとても入感しやすい1枚となっている。そして糞ほど売れない。これが現在の音楽の形なのだ。時代が時代ならば、膨大なファイルの一つでなければ、名盤として起立していたであろうに。惜しい。