Moodymann : S/T
ARTIST / Moodymann
TITLE / S/T
LABEL / kdj
DATE / 2014。
TITLE / S/T
LABEL / kdj
DATE / 2014。
2247。以前紹介した盤"Black Mahogani II"。自己主張の激しいコミック風ジャケ、そしてここに来てセルフタイトルという気概。MoodymannことKenneth Dixon Jr.が自身のレーベルよりリリースした2014年現在の最新作。僕がリアルタイムで買った数少ない、ほんとうに少ない1枚であるが、その理由ってのは明確で、すぐに手に入らなくなるからってこと。ソウルフルなボーカルを全面的に採用し、それでいて圧倒的余裕で流れていく豊潤なトラックへで耳がしっとりすること受けあいである。Matthew Herbertをしっとり黒く焼いてみましたという仕上がりです。これは強烈だ。レコードによる少数流通で、それでもなんらてらうことなく最高のトラックを放り出し、手に入れることが出来なかったファンを泣かせるという悪魔のようなマーケティング手法で、それがかかる箱を人の集まるポータル化してきたわけだけど(想像だが)、本作では、2004年の"Bkack Mahogani"以来、10年分ためこんだそれらのレアトラックたちを惜しげもなく詰め込んでしまうという。マーケティング手法の破綻というより、次の話をするために全てを放り出している、というのが才人によるなんら不思議でないやり方だ。ハウスというにはわれわれはチルしてしまう。リラックスしてしまう。もはや自然に飲み込まれようとさえしている都市デトロイトより発信されている。Moodymannは音楽をあきらめていない。これはなんら不思議ではない。彼はこの分野での中心にいて、フロアをわかせ、チルし、そして僕たちを大人へと推し進める。Jose James、Andrés、Nikki-Oといったレーベルメイト、Lana Del Rayといった売り出し中の若手ボーカリストらの力を借りて、どこまでも伝統的に黒く仕上げられた本作は、洗練されたスーツでラグジュアリな歩き方をして高級レストランに入場するように(スロウで、煽り気味の画角で階段を下りていくように)、とても贅沢な気持ちをリスナーに与えてくれる。CD版はレコードよりも収録曲も多い特別仕様で70分を超える。手に入るうちにどうぞ。