Cornelius : 96 / 69 《地球あやうし》
ARTIST / Cornelius
TITLE / 96 / 69 《地球あやうし》
LABEL / toratoria
DATE / 1996
TITLE / 96 / 69 《地球あやうし》
LABEL / toratoria
DATE / 1996
2188。以前紹介した盤"69 / 96"のリミックス盤となる本作。帯の文句によりますと「6と9の軋轢、9と6の呪縛による一種の集団錯乱状態を氷解する「向くの稲妻」の破滅的名衝動とひらめきに満ちた異種混浴格闘ギミックス(トータル・タイム69分)」なんだとか。あら良いですね。僕自身、オリジナル盤よりも本作のほうを先に手に入れていて、その頃はなんだかんだ聴くものも少なかったから、まあまあ聴いた印象があるようなないような。いつ買ったのかは覚えてないけど。今見直すと、人脈を最大限に利用したように見えるリミキサー陣でして、当時はなんらそのかたがたの名前を意識してもいなかったから、高校生だったんじゃないかなぁって感じです。夢見る犯罪者岡村靖幸をはじめ、砂原良徳、想い出波止場、石野卓球、スチャダラパー、(トラットリアつながりということしかわからないが)シトラス、暴力温泉芸者、(当時テレビ出演時に引き連れていた)ドクロ隊、hide、小西康陽。なんとも壮観なメンツですなぁ。想い出波止場のダブダブしい雰囲気に、ディスコで飛ばしまくりの世界の卓球、小沢健二との二股なんて何のそのなスチャダラのライムは今でも聴けますなぁ。どことなくキャラクターの色合いが似通っているhideの音源ってのも異色なようでいてこの並びにはすっぽりとはまる。90年代にとある層において新しいムード歌謡を構築した小西さんによるThe Beach Boysの上塗りってのも高カロリーである。時代だ。とにもかくにも時代な1枚なのである。彼らは、とある領域において、もれなく熱狂的なファン層を獲得し、もしかしたら今でも、僕たちの想い出のなかで神格化が進み続けている。今では本当にどうしようもなくおじさんおばさんなんだろうが、当時は日本のアンダーグラウンドよりもちょっとだけ上澄みな領域を多層的に、濃厚に彩った事実というのは、記憶に新しい。あるいは00年代以降の音楽の沈滞が、そのような音楽がまだ物語をもった時代の登場人物たちを、翻ることによってもれなく照らしているのかもしれない。彼らは、どうしようもなく90年代のなかで輝き、今でも、輝き、そのまま輝き続けるのだ。