The Band : Music From Big Pink
ARTIST / The Band
TITLE / Music From Big Pink
LABEL /capitol
DATE / 1968
TITLE / Music From Big Pink
LABEL /capitol
DATE / 1968
[70-71]。以前紹介した盤" Jericho "。いわゆる名盤。正直僕の音楽遍歴にはのってこないコースに所属しているんだが、タイトルに惹かれていた。結局そのコースってのはBob Dylanのコースなわけだけど。で、"Jerico"を間違って買って以来、ほったらかしだったのだが、その"Jerico"を聴きなおすと結構良かったので、思い直して本作も一応触っておこうという安易な気持ち。The Bandファンってのが、現在どの程度のリアリティを持って存在するんか知らんが、そのファンの人たち、ごめんなさい。奇抜な彩色に満ちた時代において、愚直さを提示し、喝采をえることに成功した彼らの音楽は、とてもシンプルなつくりだが、どっしりとした風格をもち、一時的な熱狂なんかとはかけ離れた伝統に基づく形式と、それゆえに当時のシーンには核心的な響きを持っていた。そう思う。だから今聴いても、たいした1枚に聴こえないかもしれないけれど、それは下馬評による先入観によって簡単に克服できるはずだ。そしてDylanのバックバンドとして、スタートしたという事実。本作ではDylanもM1M10M11で、曲作りに関わっている。全曲を通じて、大曲、ないし直球の名曲ってのはないような印象であるけど、それは全ての曲がナチュラルな魅力に満ちていて、1曲だけを目立たせることがないからだろう。全曲が佳作以上で、あたたかく、着実である。正直、刺激を求めないおっさんが安寧を求めて手をだす1枚かもしれないけど、そういう役割を担う1枚があってもよいのだ。Perfumeとか初音ミクとかばかり聞いてはいられないのである。ふさわしい柄や着丈ってのがある。僕たちは必死で、刺激的な日々を演出し、充実を強調し、他者から侮られないようにする資本主義の海辺でビーチバレーに興じている。そんなことばっかしてどーすんだよということだ。そんなことばっかしてじゃねーよってことだ。The Beatlesをいまさらながらに聴くよりも、もうちょっとかっこ悪いかもしれないけど、ほら思い切って。なんのことはない名盤との邂逅には力があるのだから。