R.I.C. : Distance
ARTIST / R.I.C.
TITLE / Distance
LABEL / mille plateaux
DATE / 1994
TITLE / Distance
LABEL / mille plateaux
DATE / 1994
1321。Martin Dammによるプロジェクト。カタ番1桁台の初期mill plateauxです。今でもBiochip C.、 The Speed Freakといった名義で活動しているらしく、90年初頭からのキャリアを考えると今ではなかなかのベテランなのでしょう。べらぼうに多くの名義を量産して、それにあわせて多種多様なスタイルの作品を世に送り出してきた分裂症作家なのですが、主としてクラブシーンで活動していたことを考えるとmille plateauxにシフトした盤を制作するというのはある種の挑戦だったのかもしれない。force ink.からもリリースがあるので、むしろそちらのほうがMartin Dammにとっては本流だったことは確実である。何かしらレーベル側に戦略があったのだろうか。本作で見せるのは、初期mille plateauxに見られるイルビエントな景色を備えながらも、イギリスでその完成度がピークに達して「ピュア・テクノ」的な趣も備えている。ややキックの音がダークで、全体を通しての神がかり的な旋律を備えていないというところに名盤への権利が与えられないのだが、それでも初期mille plateauxにしてはかなり聴くことができると感じる。しかしダークな音世界でここまでバランスよく構築されている盤というのは珍しい気がする。時代に流されない全体があると感じさせる。初期Aphex Twinを引き合いに出すサイトもあったが、なるほど確かにそうかもしれない。最終的には趣味の問題なのですが、良盤であることは間違いないでしょう。