Sinistri : Free Pulse
ARTIST / Sinistri
TITLE / Free Pulse
LABEL / häpna
DATE / 2005
TITLE / Free Pulse
LABEL / häpna
DATE / 2005
Starfuckersというイタリアのギターによるアバンギャルド志向のバンドのメンバでまずまずのキャリアがあるAlessandro Bocciさんらが名前を結成したバンドがこのSinistriです、この変な間合いでのリズムの取り方はBurnt FriedmanとJaki Liebezeitによる'Secret Rhythms'を思わせる部分もあるが、ある種の通低となるエレクトロニクスの導入がなされていないために、この盤のほうがもちろん擬似手弾き感に満ちるような様相を帯びる、もちろん断片化した粒子エレクトロニクス音がばら撒かれているわけだが、それはやはり点描であり、ペイントされない、そして故意なほどに捕らえがたいダイナミクスを保ちながら各楽器が間隙を縫っていくので此方の聴覚体験もつねに挫折させられる、全体としての身体同調性をここまで排除されると頭で聞くしかなくなるわけであり、そうなるなかなか売れない盤となるわけだ、絶妙と解釈するのか、既にリズムとしての正当性が瓦解しているととるのかは微妙なところだが、片手間に聴くのでなければ大いに面白いといえるだろう、しかしこれはエディットして切り貼りしなければ手弾きということによる演奏は生理的に不可能ではないか、どの時点でエディットをかませるのかが問題となるが、それはそれである種の詐欺となる、どこまでも新しいリズムの発見はすでに電子を数式的に処理する多くの作家の手においてなされて来たが、そのようなものを擬似的な様相で再現するという方法論は意外と聞かない、このばらつき感はインスト系のバンドにも散見されるわけだが、そこにはこれほど音の断絶をもつ構成はなされない、新しい経験であることは保証される盤である、イタリアという国の神秘である