Samuel Purdey : Musically Adrift
ARTIST / Samuel Purdey
TITLE / Musically Adrift
LABEL / quatro / Grey Dogs
DATE / 1999 / 2009
TITLE / Musically Adrift
LABEL / quatro / Grey Dogs
DATE / 1999 / 2009
1809。myspace。Lサイドによるレビューはこちら。ラジオがまだ、カルチャーを生み出していた幸福な時代。思い出のなかにのみたたずむユニットSamuel Purdey。当時FM802でヒロティがパワープレイしていたM3'Lucky Radio'が鼓膜に焼き付けられ、その良さをただただ盲信していた(同時期、他のラジオ局でも頻繁にかけられていた模様)。それはもはや冷静に判断できないほどに。今聴いても、イントロから何から何まで、屈指の名曲に仕上がっている。当時は何も感じなかったが、確かにJamiroquaiっぽい。あまりにも不遇な2人組み、イギリス出身のSamuel Purdeyの最初で最後のフル盤が本作。日本でのみリリースされ、イギリスでは先行シングル等が売れなさ過ぎてお蔵入りになったという話まであるけれど本当だろうか。それが事実ならば、本当に奇跡的に、局所的に与えられた1枚といえるだろう(ちなみに、10年たってリイシューされたのも日本のレーベル)。メンバはBarney Hurley (ドラム) とGavin Dodds(ボーカル、ギター)の2人。GavinさんはJamiroquaiのセッションギタリストだったという。そして2人はSteely Danフリーク。本作の制作に当たっても、彼らを真似てか、豪華らしいスタジオプレイヤーを招致している模様。なかでもElliott Randall(ギター)とかFrank Floyd(ボーカル)、Elliot Scheiner(ミックス)なんかはSteely Danのサポートで著名らしく、彼らを呼び寄せる程度の人望ないし熱意ないし財力はあったのだろう。ほかにも、De La SoulやらA Tribe Called QuestやらCommonやらを手がけてきた有名ミキサーBob Powerなんかも呼び寄せているあたり、もはやスタジオの仕事に命をかけているとさえいえるかもしれない。その辺もSteely Dan憧れが強いよね。当時の僕は、Steely Danなんて何の興味もなかったわけだが、本作によってある程度の性向を埋め込まれた気さえする。それゆえ、当時は'Lucky Radio'にしか良さを感じなかったのに、盤トータルでの完成度や素敵度にも気が散るようになっている。僕も多少は思い出を良い方向に回収できるようになったわけだ。それゆえに、本作が、島国で奇妙に流通している状況というのは、優越感があると同時に、残念にも思う。まさにもっと評価されるべきユニットなのであった。邦題は『夏のハイウェイ』。M1とか好物すぎる。名盤です。