To Rococo Rot : Hotel Morgen
ARTIST / To Rococo Rot
TITLE / Hotel Morgen
LABEL / domino
DATE / 2004
TITLE / Hotel Morgen
LABEL / domino
DATE / 2004
2383。以前紹介した盤はこちら(12)。ドイツの電子バンドTo Rococo Rotによる6thくらい。一応現役感もあるバンドですが、本作ですでに10以上前だから最先端でも何でもない。過去化されている。メンバーはRobert Lippok(ギター、エレクトロニクス)、Ronald Lippok(ドラム)、そして中心人物のStefan Schneider(ベース)からなる。90年代からこれまでずっと3人でやってるすれば、それはそれは仲良しこよしのバンドで、なんとも好感が持てます。1995年結成としてもすでに20年選手。何かあっても不思議ではありません。先日日本で行われたraster-notonの20周年ライブでは、Robert Lippokが帯同していて、ラップトップで攻めてくるプレイをしていました。本作では、生音よりも、電子的に構築された音が主体ではありますが、コンポーズによってその無機質さは弱められていて、甘いベースの旋律がなんだか牧歌的な空気を伝えてきます。ドイツから連綿と連なるループする電子の響きは彼らにしっかりと受け継がれていると感じるし、そうであるがゆえに、新大陸的なマッチョさというよりも、どこまでも草食系な印象を受けるわけでしょう。なんともインテリで眼鏡なやさしさがあります。とても丁寧で、それこそ今でも十分聴けるアイディアがあるとは思いますが、いかんせんカルチャーとしてはハイに属していそうなので、なかなかヤングに刺さることはない気がします。ドイツのバンドであることは昨今のグローバリズムを加味しても関係なさそうとはいえ、音楽のマーケットは無国籍化してるから逆に体系化も難しそうで、それゆえ、膨大でボーダレスな環境の中であえてTo Rococo Rotに手を伸ばす展開ってのは今日ではなかなかレアだと想像される。あ、いいなって瞬間、本当に多い優れた1枚なのだけれど。それでも来日すれば、かろうじてドイツの大家的扱いを受ける程度にTo Rococo Rotってのは日本に刻まれていたというお話です。