John Beltran : Americano
ARTIST / John Beltran
TITLE / Americano
LABEL / exceptional
DATE / 2002
TITLE / Americano
LABEL / exceptional
DATE / 2002
2358。以前紹介した盤"Human Engine"。デトロイト的な深い海や宇宙への傾倒をやめ、オーガニックなテンションの元で制作された本作。おそらく前作とかその辺りから、模索が始まったのだと思うが、本作ではその形をしっかりとものにし、テックなやり方のもとでジャズフレイバの漂うクラブサウンドを聞かせてくれる。粒感への意識は期待を裏切らない。BMPは小気味良い高さを保っている。ラテン風味全開とまでは行かないが、その季節感を感じさせる。あるいはボッサ、ブラジル。なんともご陽気な音だと思う。思慮深さの対極にあるように聞かせているけれども、部屋でも十分に響くのは制作者の力量なのだと思う。Beltranほどこの分野の中で、高い構築性とセンスを披露しながらほぼ知られることなく制作を続けている作家も珍しいと思うけれど、決して発見されることがなかったかといえば言いすぎで、初期作なんかは名盤として比較的高値で流通しているし、最近では新譜が出るたびにニュースサイトで取り上げられているのでアクセスも容易となった。好きな人間が、自分の生活をなげうってでもそのセンスを問うような文化的領域へと突入した音楽シーンが、あと数年でどれだけ底辺に落ち込むかは分からないけれども、商業的な分脈から解放され、自分たちのためだけにのみ鳴らされる音楽がこれからも作られ続けるだろう。他のカルチャとの依存関係で成立する社会音楽も悪くないかもしれないけど、もっと鳴らされるべくして鳴らされた音楽ってのがあっても良いとおもう。