Rhys Chatham : Two Gongs (1971)
ARTIST / Rhys Chatham
TITLE / Two Gongs (1971)
LABEL / table of the elements
DATE / 2006
TITLE / Two Gongs (1971)
LABEL / table of the elements
DATE / 2006
2256。以前紹介した盤"A Crimson Grail - For 400 Electric Guitars"。ニューヨーク出身のギタリスト兼作曲家。現代音楽、と呼べるような実践というよりもより、ロックな分脈なんでしょう。でもロックンロールの精神ややり口と、クラシック音楽が入り組んだような感性でもってRhys Chathamの試みは具現化されている。1時間にわたる歪んで重層化した音色のドローンの起伏はなだらかで、たたき終わったシンバルの振動がわることなき増幅能力を与えられているような感覚に襲われる。サイケデリックとも呼べるような音像の結び方。korこれは本作のタイトルにもあるように、Ryhs Chatamと、La Monte Yongの弟子の1人であるフルクサス関係のサウンド・アーティスト和田義正さんとの2人が、ゴングを演奏しているからであります。本当に、誰も得しない2人の共同作業なわけです。1971年に作曲され(といわれるような体裁を持っているのか、そもそも楽譜があるのか)、1989年にレコーディングされた音源らしい。それまでに1971年に1回、1973年に一回演奏されていて、本作は3回目の挑戦。ちなみに和田さんが相方に選ばれたのは2回目からだという。録音自体はこれまたニューヨークのアヴァンギャルド音楽の中心で活動するPhill Niblockが担当。場所は彼が主催するニューヨークのExperimental Intermedia Foundationにて。この手の音楽は、ライブの1回こっきりで、空間を占める圧倒的な音場を伴って成立するような気がしてならないわけで、その場で霧散する限りにおいて、伝説のパフォーマンスとなるわけだ。部屋の適当なオーディオで聴いても、なんら感慨も何もないわけで、ただただ1時間以上のけたたましい音の揺れに耳を馴染ませていく作業となる。それを望むのか、望まないのか。それはそれとして資料としての価値はあるのでしょうけど。こんな音楽は、デジタル配信されることはないんだろうなぁ。というか、されていたとして、それを何も知らずにダウンロードしたキッズが気の毒でならないよ。本人の弁によれば、このゴングへの取り組みが、その後のギター作品にかなり影響を与えているということです。