Nas : Illmatic
ARTIST / Nas
TITLE / Illmatic
LABEL / columbia
DATE / 1994
TITLE / Illmatic
LABEL / columbia
DATE / 1994
2252。ヒップホップ名盤探訪。YoYoいいがちなわけだけど、とりあえず取りこぼしていたこちらをチョイスだYo。というかほぼ最後に残していた一番美味しいピザという感じでしょうか。ざらっとしたトラックはエッジの効いた音色使いでそのセンスをうかがい知れる。典型的なほどにアメリカのはみ出し者(あるいは逆に典型的な体現者)のなかから這い上がったNasir JonesことNasによる誉れ高き1st。西海岸より、俺立ちはここにいるよ。なぜここまで誉れ高いのか。その理由のひとつは、当時のトッププロデューサーたちがこぞって参加しているからでしょうか。DJ Premier(M2M6M9)、Pete Rock(M4)、The Large Professor(M5M10)、Q-Tip(M7)など。すごいですねぇ。90年代ヒップホップの集大成といったところでしょうか。良く知らないけど。ヒップホップに疎い人たちでも、ちょっと腕を伸ばせば一番最初に中指が当たる場所にある1枚となっている。詳しくはないが、当時のヒップホップ勢力図は西海岸に分があったそうで、それに対するカウンターパンチとして反逆ののろしを上がったわけだ。N.W.A.、そこから出たDr.Dre、あるいは2 Pac、Gファンク代表のWarren G、またはSnoop Dogなどなど。ギャングスタ系をはじめいろんな勢力が拡大していたウェスト・コースト。で、東海岸はどうなってるってなことでヤクの売人から抜け出したNasがぶっちぎろうと立ち上がったという物語。このあたりから東西ディスディス合戦によって骨肉を削り始めるわけだ。死人が出る程度に、彼らは命を賭して、言葉を繰っていた。音楽馬鹿というか、環境に絡め取られた状況によってヒップホップは社会音楽となっていたわけだ。まさにカルチャー。日本では成立しようがないギャングスタ人生。それを聴く、ナードにすらなりきれないアジア人。今最もヒップホップを繰り出せるのは、中国かもしれない。少なくともSHINGO西成には荷が重いのではないだろうか。貧富の落差レベルによって、何かまったく異次元の手段が輝き始める。たとえば音楽が。上海のビルの裏側で、漢字を手繰る若手ヒップホッパーが最先端のビートメイカーに見出され、その情報量型の漢詩フロウでもって世界を牛耳る日も近い。そういえばDj Premierの来日ライブで'Represent'聴いたなぁ。クラシック詰め合わせですどうぞ。