Joanna Newsom : Ys
ARTIST / Joanna Newsom
TITLE / Ys
LABEL / drag city
DATE / 2006
TITLE / Ys
LABEL / drag city
DATE / 2006
2251。リリース当時、とても話題になったことを覚えている人もいるだろう。居るかな。いないだろうなぁ。それももう10年前です。たまりませんね。1982年生まれの女性ハープ奏者による2nd。根っからのdrag ciryミュージシャンのようです。2015年にも新譜が出ていて、しっかりと活動しているよう。やり口はカントリー風味、というわけでもない。ストリングスとハープが複雑な構成を編み上げていて、中核に癖のあるボーカルが乗っかる。どこかで聴いたことがあるようなストリングスのアレンジだとおもった方は耳がよい方ですね。あとで述べますが。唯一無二なご様子は確保しているが、Carol Kingなんかを想起する程度に鼻を経由した声と、展開である。とてもクリアにハープの音声とボーカルが芯を捉えているように感じる。強烈なリアリティだとおもいます。本作がなぜ話題になったのか、それはこの変わった演奏形態がそうさせているとかそんな話ではなくて、バックヤードで行われている夢の競演が関係しているとおもわれる。ミックスは、Jim O'Rourke、ボーカルとハープの録音はAlbini先生。ここまでは割りと多種多様のレコード見られるシカゴの兄弟関係といったところであるが、本作では夢心地にオーケストレイションをアレンジしているのがVan Dyke Parksだということ。指揮とアコーディオンなんかもやっている。そもそもプロデュースにParksが半分関わっているわけで。それにしても繰り出されるストリングスの癖が"Song Cycle"と同じであるってところが何だか笑えるし、それでいいのだなぁともおもいます。この世代を超えたアメリカの軸で串刺しにされた本作は、しかし聴けば分かるが、そのボーカルもあいまって、長尺の曲も独特のカロリーを伴って聞かせてくれるクオリティがある。それもあって、本作は06年ベストアルバムの選抜常連であったし、ともすれば00年代を通して選ばれることもあった。それぐらい評価の高い歴史的な1枚とあいなったわけです。インディ系メディア代表格の辛口Pitchfork Mediaがつけた点数は9.4だったとか。そういうことです。ただリリース当時の僕の関心は、洗練よりもささくれだったということで、本作を聴いてまだいいかなとおもった次第なわけでした。評判は当然知っていたんですがね。10年越しに良い音がなっています。しかし、その後のリリースはあんまり話題にならなかったという悲しみもあるね。