Frank Zappa : You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 3
ARTIST / Frank Zappa
TITLE / You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 3
LABEL / ryko
DATE / 1989
TITLE / You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 3
LABEL / ryko
DATE / 1989
2257。以前紹介したシリーズVol. 1。Zappa先生が、一流の魔術的テクニックを用いて作り上げる人気シリーズの3作目。2枚組。歓声とMCからスタートするがゆえに、ライブ盤というイメージもあるこのシリーズですが、やっていることは、パラノイア的に録音収集されたライブ公演のテイクを、ときにはベストテイクをつなぎなおすなどして全体をつくりあげているわけです。それゆえに、最初から最後までうまく演奏できることがなかった曲であっても、前半がうまくいったあっちの音源と後半がうまくいったこっちの音源をつなげてという具合に、理想の演奏を作り上げています。時には演奏された年次もメンバーも違うコトだってあるようで、まさに幻想のライブ空間がうまれています。特にディスク1のM9'Drowning Witch'はそのむちゃくちゃな構成から相当難しかったようで、その魔術的な合成技術が使用されています。あるいはディスク2の'Zoot Allures'、20分を超える大作"King Kong"もそう。だから、そのカロリーは保存されつつも、異常なまでに完成された(あるいはZappa先生が選りすぐった)音源を堪能することができるわけです。ちなみにVol.2のみは、ヘルシンキでお行われた74年のライブ音源をそのまままるっと突っ込んでいる模様。弾きまくられるギタリストZappaの本領を本作でも十分に堪能できるし、全バンドキッズは本当にFrank Zappaに憧れるべきだと思うよ。開いた口がふさがらない演奏の数々がぶち込まれています。かっこいいですよねぇ。当時まだ15歳程度だった息子のDweezil Zappaがギターを披露するM1から始まるわけですけど、そのなんとも心温まる事態もいいですね。割とまじめなところがあるから、あらゆることが正当化されるんですよね。しかもDweezilもうまいし。Zappa先生の、ともすればスキゾっぽいやり口は、不良っぽさを演出するときのお手本です。音源は70年代から80年代にかけて行われたライブ音源のつまみ食い。70年代のドラマーTerry Bozzio期から、ギタリストSteve Vaiが台頭を始める80年代に及ぶ。他にも逸話はあって、イタリアのパレルモで82年に行われたライブ音源である'Nig Biz'はこれが初収録となるが、そのライブでは聴衆が暴徒化したためめ、警察が催涙ガスを噴射するという大混乱にいたったという。そんなお茶目な思い出がいろいろ詰めこまれて、世界にはZappa音楽が広がっていくのだ。ベスト盤的に聴くのもありかもしれませんね。贅沢だ。