V.A : µ20 - 20 Years Of Planet Mu
ARTIST / V.A
TITLE / µ20 - 20 Years Of Planet Mu
LABEL / planet mu
DATE / 2015
TITLE / µ20 - 20 Years Of Planet Mu
LABEL / planet mu
DATE / 2015
2243。3枚組。かつてはオーナーの存在感その他もろもろにより、色モノに近い立ち位置だったレーベルが、音楽不況なる経済状況、いや、そもそも人間にとって音楽など必要ない、という事態のなかで20年もあの手この手で立ち回り、今や名門とすら言われるたたずまいを獲得しているわけだからすごい話である。あるいは、それだけ音楽<経済>が堕落しきったか。とにかくもめでたいリリースとあいなりました。カタ番はZIQ370。rephelxでさえ、もはやオーナーのやる気がないのかどうかでリリースが立ち消えている状況ですから、コンスタントに出すわ出すわの300枚超えですか。コンプリートできるのではと甘い夢を抱いてレーベル買いしていた頃が懐かしいです。その程度に愛着があるし、クオリティの高い盤しかリリースしないレーベルであることは自明なので、とりあえず1000個限定のボックスを買いました。Rory Gibbさんによる100ページ超のエッセイも着いてい、ます。さて、プラミューといえば、当初こそ、オーナーであるMike Paradinasと親和性が高いブレイクコア気味なハイクオリティIDMを取り揃えておりましたが、その後はダンスミュージックの隆盛をまったき中心で追いかけるレーベルともなり、それこそダブステップやら、グライムやらジュークやらフットワークやら、シーンの機微を引っ張るような存在となっていきました。というかそうなってから良く分からなくなりました。流行の音楽ってのは難しいですね。ということで、本作には90年代から00年代初頭までの僕でもカバーできる懐かしき作家たち、たとえばJega、Venetian Snares、Speedy J、 Leafcutter John、Hellfish、Datach'i、Hrvatskiといった盤をもっている作家たちの曲もあれば、Kuedo、John Wizards、Ital Tek、Remarc、Boxcutter、RP Boo、John T. Gast、Jlinなどのそれ以後の良く知らない作家たちもいます。もちろん首領のμ-Ziq(Frost JockeyやSlag Boom Van Loon名義の曲もあり)や、Luke Vibert、あるいは別レーベルの看板だったMachine Drumといった、その界隈では大物である名前も並んでいる。そんな彼らの古いも新しいも関係ないって気持ちで、未発表トラックもリミックスもぶち込んで仕上げられているわけだから、なかなか贅沢な全50曲だ。コレさえ聴けば、ここ20年のどの時期問わずで、最良かつ最高かつマニアックなダンス音楽を経験できるでしょう。もうテクノ棚をあさる必要はありません。soundcloudを徘徊する必要もないのです。それはParadinasがすでにやっています。本作には、彼が見つけてきた作家も取り込まれているのです。皆さんは、コレを教科書としてスタートすればいいのです。これ以上も以下もありません。それだけ来るところまで着ました。飽和しきったシーンを彷徨うのはただの時間の無駄です。適切な速度と距離でもって、塔に登りましょう。20周年おめでとう!物理メディア万歳!しかし、それでも、なお、だからこそ、音楽よ、さようなら!