Mark Stewart : As The Veneer Of Democracy Starts To Fade
ARTIST / Mark Stewart
TITLE / As The Veneer Of Democracy Starts To Fade
LABEL / mute
DATE / 1985
TITLE / As The Veneer Of Democracy Starts To Fade
LABEL / mute
DATE / 1985
2249。以前紹介した盤"Learning To Cope With Cowardice"。持ってるよなぁと重いながら、持ってないというような盤が結構たくさんある。どうでも良いが。本作も、多分持ってなかった。聴いてもピンとこない。もちろん持っていても、いまさら聞き込むようなことはないだろうが。近年どういう理由かまったく不明な状態で活動を活発化させているThe Pop GroupeのフロントマンMark Stewartさんのソロ名義での1stです。といってもMaffiaメンバーとしてAdrian Sherwood、Keith Leblanc、Doug Wimbish、Skip Mcdonaldの名前がクレジットされているので、"Learning To Cope With Cowardice"とは大きな路線変更はないような気がする。つまり実質的には、2nd扱いなのでしょう。on uにもライセンスされる予定だったようですが、結局はmuteからの独占リリースとなった。プロデは全作同様、StewartとSherwoodのダブル。暴力的にコラージュされた(ダブされた)音像は、80年代に典型的な軽薄な広がりをなんとかノイズのざらつきで包み込もうとしているが、どうあったってなんだかださめに響いてしまうのは、すでに時代が30年以上たっているからであると処理してよいものかどうか考えるべきだろう。マフィアなのか、テロリストなのか、とにかく音楽に社会的な反骨精神を持ち出すというやり口は、he Pop Groupeでも、あるいは先立つUKパンクにおいてでも、解消されてしまった方法論であるが、ただ若者は音楽の持続に乗せてそのメッセージを運ぼうとしたわけだ。今もそれは一部では変わらないかもしれない。ただ、圧倒的多数が音楽を聴かなくなっているという現実において、若者は社会的変革を叫ぶのをやめようとしている。叫んだからといって、それはただ虚空の素振りに過ぎなかったわけだけれども、そこにはカルチャが芽吹いたし、ある程度の生殖活動にも成功したにちがい違いない。それがファッション感覚というやつだ。どうでも良いが。あまりにも有名なこの白黒ジャケットに赤字のクレジットの盤を見て、何かをとらまえようとする若者が、期待に胸をおどらせて、その中身を再生したときに、その流行もしないインダストリアルな音像と、これじゃないという押さえられない感情に、音楽をあきらめなければよいのだが。そんなことにならないように、とりあえずThe Pop Groupeの諸作(再結成している現在はどうなってるかしらない)だけを聴けばよいと思う。単純にかっこよいし。衝動というには、クールに切り貼りされてしまっては、時代のレッテルとともにそこには誇りにまみれくすんだ世界があるだけ。ヒップホップのビートだって、今や圧倒的な洗練を見せているわけだから。いまさらこの盤を確認する必要はない。でも名盤といわれるのだから困ってしまうよね。それだけ、Mark Stewartの前のキャリアが偉大だったということ、そして彼が所属したon-uというコミュニティが際立った存在感を持っていたこと、その他もろもろのアティチュードもあって、本作は時代の名盤の地位を獲得するに至るわけだ。ちなみにレゲエ的なビート感はかなりそぎ落とされています。