Led Zeppelin : Physical Graffiti
ARTIST / Led Zeppelin
TITLE / Physical Graffiti
LABEL /swan song(atlantic)
DATE / 1975
TITLE / Physical Graffiti
LABEL /swan song(atlantic)
DATE / 1975
2244。以前紹介した盤"Presence"。そして2枚組へ、という。とどまることを知らない勢いでLed Zeppekinはその地位を磐石とし、追いかけることが出来ないほどの長大な階段を上り詰めていく。もはや70年代の熱狂と音楽は彼らのためにあったのかもしれない。そのアティチュード、スキル、その他大勢を動員し、カルチャとしてのカラーは唯一無二だったことでしょう。誰も真似できない。だから、Zeppelinに遡行できなかった僕を、過去の僕は許してくれると思う。ベーシストのJohn Paul Jones脱退騒ぎを経て制作されたという本作は、それにも関わらず、彼らの名声をさらに高めることになった。3rdから5thという豊潤な時代から、未発表曲をぶち込むことで、この大作はよりLed Zeppelinとしての真正性を高めているとおもう。ディスク1を締めくくる''Kashmir'をはじめ、ファンならずとも人口に広がる曲が多いというのはポップスの基本だが、そこに注ぎ込まれる異様な熱量は、それを平準とするにはあまりにもひりついている。Pegeのリフはいつだって適切に間隙を埋めてくるし、 John Bonhamはあらゆるドラマーが憧れるリズムをたたき出す。その力動性たるや、後景化する単なるリズム・パートであることをやめ、それによるロックの進化は次の一手を見つめる90年代を先取りしているのは間違いない。といいつつPlantのボーカルがつやっぽくて、強力であるがために、その均衡が破れているともいえるが。なんという贅沢な破綻なのだろうか。ハードロックとも呼ばれる伽藍な音世界と、馬鹿みたいな明るさ、そしてブルースへの敬意を示す古典へのオマージュ、どこを取ってもPlantは一貫してセクシーに歌い上げる。僕は好きなスタイルではないが、それはZeppelin印としてしっかりと刻印されているに違いない。僕は彼のボーカルがいかしているとは今もおもわないし、それが前景化することで、バンドをダサくしてしまっているとすらおもっている。その意味では過去の態度となんら変化はないかもしれない。でもやはり、各人の演奏と音への気配りは最高なのであった。Led Zeppekinは大きな物語を体現したバンドだった。60年代から70年代へ。ポップスは最高の物語を鳴らしていたといえる。振り返ると、あまりにも永遠のような時代だった。