Plaid : Reachy Prints
ARTIST / Plaid
TITLE / Reachy Prints
LABEL / warp
DATE / 2014
TITLE / Reachy Prints
LABEL / warp
DATE / 2014
2240。以前紹介した盤"Double Figure"。高く経営を続け、今や世界のインディーレーベルの鏡とも言うべき一大メディアグループへと名乗りを上げようとしつつ、存在感をきちんと担保できているのか疑問の余地もあるwarpの最古参の一旦を担うPalid。Black Dog Production名義で残した人工知能の音楽は、今でも歴史に刻まれている。というか、個人史に刻まれている。Ed HandleyとAndy Turnerは黒犬が取るアプローチとは違い、本作ではより穏やかでポップスと稚気の聴いたかつてのベッドルーム音楽を引き継いでいる。だから人気が衰えていたとしても、この手の音楽に郷愁を感じる人たちの心の寄る辺になることができる。だから強い。彼らが放った本作はなんと10作目。どこかの誰かさんとは違って、ファンに忘れ去られない絶妙な距離感でリリースを続けている。リリースを忘れても、ファンが付いてきてくれるほどの存在感がないということを自分たちでも分かっているようだ。別にくさしているわけではない。むしろ、そのようにして、常にアピールを忘れないで欲しいとおもう。もっと多くの人たちがアクセスできるように輝いていて欲しいというわけだ。電子の力を使って、言葉を使わずに(ある種身体のゆすぶりすらなしに)、われわれの感情を高めてくれるダンス・ミュージック。IDMと呼ばれたのも今や昔、そのレッテルすらもはや通じなくなってきているとおもわれる。いまやEDMだ。それもまたDMだけ残して新しいイニシャルを獲得するんだろう。今やはやらない、しかし流行らないからこその中心性を担保する。Plaidにはそんな良心としてwarp帝国を支え続けてもらいたいものだ。本作に収録されている曲は、どれもクオリティが高く、一筋縄ではいかない構成とアイディアを込めながら、ポップスを鳴らしている。彼らのキャリアを考えれば、本作はその異様さが際立つ。四半世紀がたったわけだ。その長い期間の中で、彼らはまったく変わらずにその先進性だけをとがらせ続けている。それはばかげたことであるけど、宗教的な物語と似て、とても重要なことだとおもう。彼らを信じている人たちにとって。僕にとって。全作聴いたことがあるわけではないが、こみ上げてくる思いがある。というかあって欲しいのだ(と自分に言う)。名作である。