Frank Zappa : Zappa In New York
ARTIST / Frank Zappa
TITLE / Zappa In New York
LABEL / discreet / barking pumpkin
DATE / 1977/1991
TITLE / Zappa In New York
LABEL / discreet / barking pumpkin
DATE / 1977/1991
2336。贅沢な2枚組。discreetはwanr内に1973年から1979年の間にZappaさまのために作られたサブレーベルだそうで。書誌データ的な扱いはよくわからんが、1991年のCD化のさいにはすでに更なる曲がぶち込まれた大ボリュームになっていた模様。そもそもの経緯は、モノの本によれば、WarnerとZappaの間にややこしい問題があったとかなんとか。最初にリリースされた時点で、Zappaの意向とは違う形で出されたという話。それゆえbarking pumpkinから1991年に出たCDこそ完全版であり、その秀逸さに震えるだけの簡単な選択。ライブ盤とはいえ、中身はニューヨークで1976年に行われたライブ音源(ハロウィーンに3回、クリスマスから元旦の1週間にわたる公演)をベースに、スタジオでさらにZappa先生お得意の魔術的後付けが施されている。その完成度たるや、鼻血なしでは聞けない一大絵巻であることは、聴かなくても分かるでしょう。当時のバンド編成も大人数で数え上げればきりがないけれども、その後UKを結成するEddie Jobson(キーボード、ヴァイオリン)とTerry Bozzio(ドラム、ボーカル)、そして当時のZappaツアーを代表するプレイヤーPatrick O'Hearn(ベース)とRay White(リズムギター)。そして大伽藍を展開するに不可欠なZappa流オーケストラの面々としてRandy(トランペット)とMike(テナーサックス、フルート)のBrecker兄弟、Lou Marini(アルトサックス、フルート)、 Ronnie Cuber(バリトンサックス、クラリネット)、、David Samuels(ティンパ二、ヴィブラフォン)、 David Samuels(トランペット、トロンボーン、ピッコロ)。これに、ライブ自体にも参加したのかもだが、Louanne Neil(ハープ)、 Ed MannとJohn Bergamo(パーカッション)、 Ruth Underwood(パーカ、シンセなど)のプレイがスタジオにてオーバーダビングされていく。華麗かつ豪胆に。大半が寄せ集めとはいえとこの一流の演奏者たちを纏め上げるコンダクター件ギター件作曲家という役割を担ったFrank Zappaという名前は、ニューヨークの寒空を吐しゃ物だらけにして彩ったに違いない。恐ろしいことに、収録されている曲の半分以上が新曲だったという。馬鹿なのか?何をしてるんだと。サービス精神云々の話ではない。肥溜めみたいな物語である。リリース当初にAngelのメンバー揶揄しているということでレコード会社がカットしたというM4'Punky's Whips'とか、もう全部入りってぐらいの形容しがたいZappa流の構成で、この塊をカットするとかそりゃ先生もその音楽的な糞判断は信用できないわなぁという。そのときのボーカルがTerry Bozzio。その怨念がすでに発露していたかのように、打楽器を主軸に構成されたロック史上(!!)最高難度の曲ともいわれる'The Black Page'ではBozzioがZappa先生の無茶振りを真正面で受け止める完璧な演奏を見せる。えぐい。エロい。さすがローリングストーン誌が選ぶドラマー第5位なだけはある。オーバーダブの仕事がどの程度施されて、再現性は不明だが、全ドラマーが真似してほしいところだ。真似したいとおもうかは不明だが。この若手ドラマーが75年から78年までZappaバンドの中心となるわけで、Zappaが最初で最後の来日をしたときに帯同したドラマーもBozzioだったからというわけではないけど、日本でも人気が高い。それにしても、歴史上、もっともロックに向き合ったのは、あるいは、唯一本気でぶつかったのはFrank Zappaその人だったということを再認識させられる。恥ずべきことに。偉大だ。人気曲である邦題「おっぱいとビール」で幕を明ける音楽遺産に敬礼。