Eric Dolphy : At The Five Spot, Volume 1
ARTIST / Eric Dolphy
TITLE / At The Five Spot, Volume 1
LABEL / prestige
DATE / 1961
TITLE / At The Five Spot, Volume 1
LABEL / prestige
DATE / 1961
2239。"Outward Bound"。Dolphy一流のインプロが冴えるバップを乗り越えた名作、みたいな感じ。メンバーはEric Dolphy(アルト・サックス、バスクラ)、Booker Little(トランペット)、Mal Waldron(ピアノ)、Richard Davis(ベース)、Ed Black Well(ドラム)。ニューヨークはマンハッタンにある有名なジャズクラブThe Five Spotで行われたセッションの一部。Vol.1とあるようにVol.2もあるし、"Memorial Album"、そして死後に発表された"Here And There"に分散して収録されている模様。Dolphyはアメリカで十分な評価を得ることが出来ず、ヨーロッパにその活動の場を見出し、そしてあっけなく死んでしまったわけだけど、その渡欧の前に祈りのように吹き込まれた音源というわけだ。ビバップを前衛に片足を突っ込んで微妙にずらしながら、フリージャズといいつつその安定的な展開に、現代の耳で聞けば、スタンダードではないジャズという程度にまでそのハードルを下げることが出来るとおもわれる。そりゃあプロが聞けば、そのパターンや構造的な部分で、斬新な違和感を楽しめるのだろうけど、半世紀以上前の話なわけで、時期的には微妙なずれしか存在しないのだから。ただDolphyが作り出そうとしたユニークさでもって、現代でも手垢の付かない新鮮さを維持しているのは確かだろう。詳しくは知らないが、Booker Littleとの双璧によって本作のインプロは冴えに冴えているし、ピアノのMal Waldronも先導的でありつつ、ソロではカロリーを下げることがない。とにかくアンサンブルの一体感がすごい。コレが一流のライブ・パフォーマンスであり、コレが最高の録音で残されているということが、音楽文化をパッケージ化してきた人類の誇りなのだろう。M3'The Prophet'で縦横無尽にアルトサックスを吹きまくるDolphyのプレイに濡れない人間は居ないのではないだろうか。この文字通り息も詰まるようなインプロは、きわめて真摯に自分の音楽に取り組み、そしてその音楽の境地に到着している。稀に見るプレイである。決して冷めることのない熱々の名盤。