Saccharine Trust : Worldbroken
ARTIST / Saccharine Trus
TITLE / Worldbroken
LABEL / sst
DATE / 1985
TITLE / Worldbroken
LABEL / sst
DATE / 1985
2330。音楽は徐々にクラウドへと移行し(ているのか??)、その傾向が過去のインディー諸作をどの程度包みこんでいるのかが気になるところではある。たとえば本作を。メンバーはJoaquin Brewer(ボーカル)、Joe Baiza(ギター)、Tony Ciero(ドラム)、Michael Watt(ベース)。1981年に1stEP'Paganicons'をリリースし、それをKurt Cobainがフェイバリットにあげている、という点で有名なバンド。あるいはSonic Youthがその5曲目にクリジットされている'I Am Riot'をカバーしていることでも有名。というか、アメリカのハードコアからオルタナティブへと向かう分脈において、Saccharine Trustは重要だっという話。MichaelことMike WattさんはMinutemenのメンバーとしてレーベルメイトであり、本作ではおそらく臨時メンバーとして参加しているのだろう。ちなみにMichaelは母親のみが使う呼び名だそうですが、なぜ本作でそのクレジットを使ったのかは謎。"Paganicons"のプロデもつとめていた。本作の特徴は1985年の6月9日にサンタモニカのギターショップで一発録音されたインプロ作品だということでしょう。sstってのは、その手のバンドが好きというか、ジャズ的志向性をハードコアの世界へと照れも詰め込んで、意識の高い演奏を大切にする傾向にあったように思う。本作では歌詞までも即興であるという。違うのかな??。たしかにブロークン・ワードな歌唱スタイルであるけれども、演奏は割りとまとまっているように思う。ボーカルのカロリーが個人的には、ちょっとうるさくて胃もたれする程度に主張しているから好き嫌いあるだろう。演奏の音は、その乾いていながらもスモーキングな色気が90年代を準備するにふさわしいテクスチャを秘めている。かっこよい1枚で、インプロであることを言い訳にしない聴かせる1枚となっている。それにしてもsstはきちんとwebで流通経路を確保して、まだまだ現役で音源をばら撒いているってところは本当に頭が下がる。オーナーであるGreg Ginnさんは歴史化されて評価されるにはまだ早いということでしょうか。未だに見つけたら買うようにしている好きなレーベルです。