The Bill Evans Trio : Moon Beams
ARTIST /The Bill Evans Trio
TITLE / Moon Beams
LABEL / riverside
DATE / 1962
TITLE / Moon Beams
LABEL / riverside
DATE / 1962
2318。Bill Evansの盤を数枚持ってるはずだが、1枚も触れてないという事実。60年代に入り、絶頂を迎えたEvans。まさにEvans時代。"Portrait In Jazz"、"Waltz For Debby"、"Explorations"、 "Sunday At The Village Vanguard"と、どれも強烈なプレイで、何の懸念もない、ピアノジャズ入門作品集となっている。いわゆるリバーサイド4部作である。もちろん、ジャズのジャの字も知らない僕が最初に手を出した数枚も、Bill Evansの前述した盤たちであったことは言うまでもない。どうしようもない入り口なのである。それだけ残しているわけだから、その他、Evansのリーダー作ってのは、後景に引っ込まざるを得ない。それはどうしようもなく仕方ない。あげだしたらきりがないという。そして、史実として、その絶頂期のベースとなったトリオの1人、ベーシストのScott LaFaroがヴィレヴァンでのライブ録音後すぐに交通事故で死んだという出来事もあった。それを乗り越えるのには、いくばくか時間がいり、そして、メンバー変更はいくばくかの影響を及ぼしたことだろう(それでも、その間にJim Hallとのデュオ傑作"Undercurrent"を発表している)。そして新しいトリオとして、ベースにChuck Israelsを迎えて制作されたのが本作である。ドラマーは変わらずPaul Motian。それまでの圧倒的到達と、若き仲間の死が、彼のその間の身振りを圧倒なものにしてしまったがゆえに、この盤はとても控えめな評価を得ている、と入門者としては感じざるを得ない。それでもBill Evansの切れ味と、響き、充実したEvans節に満ちたソロは、素人聴きしても、それまでの4作となんら遜色はない。一説には、Chuck Israelsの、それこそ控えめなベースが、Evansのプレイの添え物に徹することによって、そのピアノを前景化しているという話。それゆえトリオとしての充実感が薄れたのかもしれないが。それは知らない。それでもEvansを楽しみたいというリスナーにはリバーサイド4部作同様、本作もしっかりとフォローしておくべきでしょう。ちなみに、原典を参照できなかったが、うわさがうわさを呼んでいることがある。それは、本作の印象的なジャケットを飾っているモデルである。時代は60年代初頭、ニューヨーク。その後、彼女は空前絶後のポップ・アーティストに愛され、彼がプロデュースしたバンドとともに、1966年に彼女の顔の代わりにバナナを配したジャケットを携え、歴史的傑作をリリースすることになった、というなかなか面白い話。