Frank Zappa : Lumpy Gravy
ARTIST / Frank Zappa
TITLE / Lumpy Gravy
LABEL / verve
DATE / 1968
TITLE / Lumpy Gravy
LABEL / verve
DATE / 1968
2321。そろそろどの盤を持っていてどれを持っていないかが分からなくなってきた。本作の正式タイトルは"Francis Vincent Zappa Conducts The Abnuceals Emuukha Electric Orchestra & Chorus : Lumpy Gravy"。もともとは、The Mothersの中心人物だったZappa先生が作曲家としてcapitalのために作ったのが親会社から契約関係によるクレームでお蔵入り、翌年にThe Mothersで契約しているverveにマスターが買い上げられ、作り直されてリリースされたという経緯を持つ。とにもかくにも、The Abnuceals Emuukha Electric Orchestraという大所帯を引き連れて、いつもどおりのFrank Zappa節を楽しみましょうということでいいのかな。むちゃくちゃにサンプリングされた音の波に普通の感情を持っていたら発狂しそうになるが、それでもそこかしこで見せる音楽家Zappaの感性たるや。そのダイナミックな旋律はどこまでいっても先生のその脳みそに流れていただろう勇ましいテーマである。時期は"We're Only In It For The Money"の頃。本作をリリースした後に、"Hot Rats"でその作家性は、一般でも分かる形に統合されることになる。世界中を見渡しても、助走ないロケットスターとで、先端を走り続けたポップ・ミュージシャンは居ないだろう。この俯瞰からのジャケットから、どうやって本作のような30分2部構成の壮大で、統語失調症のようなオーケストレーションを想像できるだろう。そして、文字通りピアノの中で行われたおしゃべりすらぶち込まれたこれが実質のソロ1stなのだ。狂っている。誰のために、何の快を生み出そうとしたのか。本作のリリースにより、Zappa先生はどのように自分の生活や、人生が好転すると考えたのか。そのような保守的な思考は本作には微塵も含まれていない。どこまでも悪ふざけだ。それでも、Zappa先生は、その有り余る才能を隠し切ることができない。第一部の1分47秒から始まる、そのシックかつブシの聴いたフレージングを聴いて欲しい。われわれがこの髭の天才性を疑わない理由はここにある。それを照れるように悪ふざけでぶち壊す。