Neil Young : On The Beach
ARTIST / Neil Young
TITLE / On The Beach
LABEL / reprise
DATE / 1974
TITLE / On The Beach
LABEL / reprise
DATE / 1974
2312。以前紹介した盤"Harvest"。リリース後、2003年にリイシューされるまで、CD化すらされなかったNeil Youngのヒロイックな1枚。5thぐらいのスタジオ盤。"Harvest"の2年後です。それゆえ、リイシューされたときは、そこそこ話題になりました。ジャケもすごく良いです。しばらくしてヴァイナルでの生産も終わり、カセットで流通するという21世紀になっても考えられないくらいやり方が取られ、割かしレアな存在だったみたいです。なぜリイシューされなかったのか。いまだに良く分かってはないようですが、とりあえずYonug側の意向だったようで、何か法的な問題やらがあったのかもしれない。そんな幻な1枚ですが、今わざわざ手に取るような愚考を犯さなくてもいいっちゃいいわけですけれども、リリースされて40年、リイシューされて10年以上たってもなお、この頃のNeil Youngってのは素でアメリカン・ロックの良心だったし、ただの天才だったわけですから、軽くギターを振りかざしただけでも、その高音の歌声を響かせただけでも、フォーク的であれなんであれ、良いものしか作ることができないので、本作が名盤として残っているという。確かに一聴して、衝撃が走るようなことはないかもしれない。渋い佳作だ。それでも、ネヴィル・シュートの同名SF小説のラストシーンにあるような、どうしようもない理想郷が、広がっている。諦念と嘆息の先にある、あまりにも綺麗な理想郷だと思う。両者に関係があるのかは知らないけど。Youngの盟友であるDavid Crosby(ギター)、Graham Nash(エレピ)、Crazy HorseのBilly Talbot(ベース)やRalph Molina(ドラム)、The BandのRick Danko(ベース)やLevon Helm(ドラム)といった面々をところどころ配置しながら、圧倒的な70年代のロック魔術を施す。ブルースの魂に震え、フォークの精神に涙する。発表当時に芳しくなかった評判を超え、それまでの熟成された実績と、天才の間違えようのない身振りの発散により、本作は、本作としてふさわしく、現在も聞き続けられる1枚へと仕上がったわけだ。ただリイシュー時にHDCDだった関係か、Winのitunesで再生すると、ひどいノイズが走るのは気のせいか。解決策がよくわからない。買うまでもなく、you tubeさんで全曲聴けたりもしますが。