Helen Merrill : S/T
ARTIST / Helen Merrill
TITLE / S/T
LABEL / EmArcy
DATE / 1954
TITLE / S/T
LABEL / EmArcy
DATE / 1954
2292。ジャズ名盤探訪。一応ボーカルものも押さえておく。顔ジャケのなかでも結構有名な本作を抜くことはできない。まるでこぶしをひねり出しているような眉間具合だが、M1からしっとりとうたう。そして、ミックスの感じが、ここまでボーカルを押し出すねってほど近くで歌っていてびっくりする。ジャズ・ボーカルものってこう仕上げるのがスタンダードなのかな。まるでステージ正面で聞いているような印象。バックバンドのメンバーは、Oscar Pettiford(ベース)、 Jimmy Jones(ピアノ)、Clifford Brown(トランペット)、Barry Galbraith(ギター)、Milton Hinton(ベース)、Osie Johnson(ドラム)、Bob Donaldson(ドラム)という布陣。アレンジはQuincy Jones。へいへいへい!歌声が「ニューヨークのため息」とか言われているらしいが、本当かな。すげえ悪意に満ちた表現な気がするんですが。ため息を肯定的に捉えているのかな。そうこうしているとわりと有名なCole Porter作曲によるM2に。これは完全にLove Psychedelicoの元ネタですね。こんなところに材料があったとはしりませんでした。うたい方と節のつけ方がもうくりそつです。ただ偶然似てしまっただけでしょうか。そのほかはさほど似ていないから、あくまで言いたいだけという。Clifford Brownもいるから、間奏部分もしっとりねっとりと楽しめるけど、若手が聴くにはドレッシーできどってるし、甘ったるいし、古い部類に入るのではないでしょうか。それでもさらに古いクラシックであろうGershwin作曲によるラストM8なんかは、ぐいぐい来るBPMで心地よい疾走感を楽しめるし、好きになれそうです。20代前半の若者たちが集い、そしてその後の彼らの名声が始まるにふさわしい1枚だったようです。ジャズ・ボーカルに興味があればどうぞ。