Hecker : Recordings For Rephlex
ARTIST / Hecker
TITLE / Recordings For Rephlex
LABEL / rephlex
DATE / 2006
TITLE / Recordings For Rephlex
LABEL / rephlex
DATE / 2006
2284。これまでmille plateauxのコンピなんかで言及してきましたが、フル盤は初めて。しかもrephlexという。Richardさまが動き出したけど、どうもクローズしたといううわさでもっぱらのレーベルですから、いろんなのが廃盤の憂き目にあっていて、それはもう見つけたら買っとけという始末。それでも、クラウド、ストリーミング、ダウンロード、その他もろもろの手段によって音楽はデータ化されたわけですから、そんな心配なんて、ばら撒かれた世界中の盤たちを一箇所に集めて爆発でもさせない限りは、マスターがなくなろうとも消え去る可能性は低いという世界を行き始めた時点で、ないわけである。ドイツ出身の生粋のmegoっ子であるFlorian Heckerは、それはそれはラップトップ音楽のど真ん中で、ただただ自分が気持ちよい音を追求する変態おじさんで、ぐいんぐいんビートを手繰るようなことはしないけれども、ともすればノイズとも取られないクリックをばら撒きながら、アシッドをビートレスに解釈して音をひねり出したりする。 Russell HaswellやPeter RehbergやMarcus Schmickler、あるいはコラボフル盤を出している偉大なる刀根康尚さんなんかとやっているエリートが、アプローチはよりポップスなRichardさんからのオーダーを受け入れるという珍事を、いぶかしんでいる暇はないと思う。もう潔いほど開き直ったタイトルをつけつつ、やってることはどこまでもHeckerのサウンド・ドローンであるから、だまされたと思うか、チンコがあらぬ方向に曲がって電子の極北への探求を始めるか、それは人それぞれ。計算されたエラーという誤謬した正解を堪能しましょう。世界の都市ビエンナーレでなんの疑問もなく流されているのはこんな音楽たちです。