Aphex Twin : Computer Controlled Acoustic Instruments PT2 EP
ARTIST / Aphex Twin
TITLE / Computer Controlled Acoustic Instruments PT2 EP
LABEL / warp
DATE / 2014
TITLE / Computer Controlled Acoustic Instruments PT2 EP
LABEL / warp
DATE / 2014
2279。以前紹介した盤"SYRO"。2014年、音楽業界において、とても祝祭的だったのは、Apehx Twinの気まぐれなコンシューマーシーンへの復帰であった。とても喜ばしく、満ちたりた気分となり、それは割りと広がりを持っていたために、その盤にふさわしいあり方としてグラミーの部門賞を受賞した。当然のことである。そして、いわゆる確立変動を迎えたRichard様は、それまでリリースをしなかった気分をあっさりと変えて、本作をさらっとリリースする。これほど中身や手法をあらわすタイトルをつけるとは、というほど遊び心のないタイトルでもって、そのままの音楽が提示されている。彼の自作装置によって奏でられるこの音楽は、オートマトンという数世紀前の手法とさして変わらないものであるが、なぜ彼がこのようなアプローチを見せるのかというのは、またどこかで明らかになるだろう。割と勉強熱心というか、ポップスの土壌にいるにも関わらず(本作も調律こそ浮遊しているが、ずいぶんダンサブルな仕上がりである)、Philip Glassとのささやかな邂逅が示すように、クラシカルなアプローチを採用する。思えば、プリペアド・ピアノを用いた'Nanou 2'は傑作でしかない大作"Drukqs"を見事に飾ったわけであった。本作でもぶっきらぼうな、アコースティック・ダンシング・マシーンの不穏な音楽が全編において鳴っているが、本作でも、最後から2番目の曲で、比較的近い曲を意味ありげに披露している。多分習作は無数にあるのだろう。それにしても、何を照れているのか。ラストに持ってこないってあたりが、なんともほほえましい。なぜPT2なのか、そしてEPなのか、色々と、勘ぐりたくもなるだろうけど、天才がやることだから、もう一喜一憂せずに、与えられるものに濡れていれば問題ないのだろう。そして、爆発したかのように、あるいは、soundcloudのそのものをコンセプチュアルにあざ笑うかのように、未発表曲を(といっても、ミックス等が仮に甘いとしても、どこまでもRichardのブシが現れてしまって、濡れてしまう)、200曲以上も惜しげもなくぶち込み、リマスタしてファン投票なんかも初めて、warpから出しちゃうよーってな具合なわけですから、もう座して涎たらして待つしかないわけです。やだ、かっこよい。とにかく、お布施は忘れないようにしましょう。音楽マーケットの大変革を迎えた今であっても。そういう時代をたった一人の作家に仮託することによって忘れないように。