Steely Dan : Katy Lied
ARTIST / Steely Dan
TITLE / Katy Lied
LABEL / abc
DATE / 1975
TITLE / Katy Lied
LABEL / abc
DATE / 1975
[56-71]。以前紹介した盤"Countdown To Ecstasy"。Steely Danの70年代は、まだまだ出し惜しみすることのない1年後とのリリース頻度で、着実に自分たちの世界観を構築していった。邦題を『うそつきケイティ』と名づけられた本作は、そんな彼らの4th。だいぶ安定してきている。革新的なポップスを高らかに鳴らすのは、あと数年必要なわけだけど、それでも、ここでなっているのはSteely Danの音楽である、と感じることができる。本作からは、Donald FagenとWalter Beckerとの実質的な2人体制に移行し、現在のSteely Danの制作ベースがほぼ確立したようで、本作を重要な1枚としてとらえるリスナーは多いのかもしれない。まだまだ当時の時代状況というか、偉大なるソングライターたちのほのかな甘い香りをまとわせているようなところもあるんだけど、それでもSteely Dan聴いてるなあと思うんだ。 のちにThe Doobie Brothersへと参加し、その主柱にまで上り詰めるMichael McDonaldも本作が初参加の模様で、サウンドメイキングに一役買っていると想像される。本作でも見られる曲ごとにギタリストは挿げ替えられるという手法は、各パートにもっともふさわしいスタジオ・ミュージシャンを配置するというSteely Danのもっとも際立ったやり方のひとつとしてしばしば言及されるわけだけど、メンバーの脱退などもある程度影響していたのだろうか。やむにやまれぬ状況で生まれた、わがままディシプリンだったのだろうか。どうもそうではないらしい。前作の"Pretzel Logic"で挑戦したら、他のメンバーが嫌悪感を示してやめたんだって。そりゃそうだ。もはやFagenとBeckerは別次元の世界を見つめていて、もちろん、それが彼らの完璧なサウンドメイキングを可能にするわけだけれども。Steely Danの盤のなかでは、ジャケの地味さが良く言及されて、それで入手をためらった挙句に聴いてみると、すごくフェイバリットになりました、っていう評価が多い。ハードルが下がってるんだね。面白いなぁ。多くの曲が3分代で、10曲で35分という適切な尺。聞き込むとたくさん発見があると思われます。どうぞ。