Steely Dan : Countdown To Ecstasy
ARTIST / Steely Dan
TITLE / Countdown To Ecstasy
LABEL / abc
DATE / 1973
TITLE / Countdown To Ecstasy
LABEL / abc
DATE / 1973
[43-71]。以前紹介した盤"Aja"。まだ僕たちが敬愛するSteely Danにはなっていないけれど、かすかにかすかに音を立てながら、プログレッシブ・ポップスの構築を見せ始める2nd。見せ始めてるのかなぁ。1stでは、異なるベクトルとして、心に響く歌モノとしてのきちんとした名盤水準を提示していた彼らが本作でしようとしたことはなんなのか。Donald Fagenが本作以降、ボーカルをとり始めるわけで、wikiによると本当か嘘かわからないが、もっとも気に入っている1枚としているという。もしかしたら、悟り、気付き、あるいはそれに似た何かがあったのかもしれない。ここから、現在まで続くSteely Danの確信が始まったという。M1はまだ50年代ロックンロールのDan的焼き直しの印象であるが、M2ではぐっと未来への投げかけを始める。締まるね。良い構成Dan。複雑Dan。一筋縄でいかないがもっとも似合うんDan。当時のメンバーは Donald Fagen(ピアノ、ボーカル)、Walter Becker(ベース、ボーカル)、Denny Dias(ギター)、Jeff "Skunk" Baxter(ギター)、Jim Hodder(ドラム)。まだ演奏に対する偏執狂的なこだわりが無い時期だったのだろう。スタジオ・ミュージシャンの導入もさほど進んでいない(と推察する)。それでも、バンドのメンバーたちは、指揮者に絶対服従する奏者のように、黙るときは黙る。遊びなんてものは追求されていない。ここには、余剰などはなく、厳格な配置がある。なるべき場所でスイッチを押される各パート。まるでMIDI音楽のように、というと語弊があるだろうか。2進法的な選択の進行によって、本作は、まさに構築されている。誰が、影で意図を弾いているのか。Fagenか、Beckerか。この頃、本作を享受していたファンにとって、本作はどのように響いたのだろう。想像すると、厄介で、どきどきする。M4なんて、今のSteely Danの萌芽どころか、それに近接するブシを惜しげもなく軽やかしている。構築だ。その他の曲も、素朴ではあっても、耳を澄ませば、緊縛されているように窮屈である。そのマゾヒスティックな精神性こそ、これから始まるSteely Danの前触れなのであった。興味があればどうぞ。